自分の投稿作品が「紙魚《シミ》」に侵されたら、命を懸けて戦えるか?
- ★★★ Excellent!!!
古今東西あらゆる書物のデータがその電子書架に収められている。
最近ではアマチュアからの小説投稿も行われ、活況を呈している。
物語の舞台は、我々に身近な小説投稿サイトと公開中の作品世界。
主人公・彰文は執筆をしないが、読者として一目置かれる存在だ。
彰文の読書好きは「誰か」の影響だが、その誰かを思い出せない。
もしやその欠落は、魔のモノ「紙魚《シミ》」による影響なのか?
シミは作品を侵して書き換え、現実世界にも作用するという。
万一、シミが世界的名著を襲ったら、文明さえ崩壊し得るのだ。
彰文は、級友でラノベ投稿者の浩太郎と、作品世界へ入り込んだ。
浩太郎の処女作を守るため、乙女系投稿者のかりんに力を借り、
各々の思い入れの深いキャラクターをパートナーとして呼び出し、
ストーリーを追いながらシミとのバトルに身を投じることとなる。
カクヨムでカクこと、ヨムことを楽しんでいるユーザーなら、
自分の身に置き換えてガッツリ感情移入できる物語設定だ。
「もし私が悪魔の書架で戦うなら?」と想像するのも楽しい。
(うちには戦闘系キャラも多いけど、精神的に脆いから心配)
カドカワ公式作品であり、何より、水野良先生の作品である。
ロードス島には、執筆スタイルの上で本当に大きな影響を受けた。
完結してから一気読みしようと思って今まで我慢していたが、
結局やっぱり読みたくなって、公開分を全部読んでしまった。
プロの作品を読むことは勉強になる、というのは当然のこと、
「カドカワ公式作品がどんなレイアウトを取っているか」も
一つの指標になった(「見せ方」に迷う書き手は多いと思う)。
スマホという最凶に見づらい環境での読み易さが優先されている。
物語は始まったばかり。
登場人物もまだ少なく、最初のシミ退治も未だ達成できていない。
水野良先生の新作、これから更新を楽しみにしていこうと思う。
ラノベがラノベと呼ばれてなかった頃の、好きだった風を感じる。
最後に声を大にして。
水野良先生、好きです!
ずっと応援しています!
届け、ラブコール!!