エピローグ
エピローグ
――――春秋深海にとって一番特別だった一年は?
そう問われたら間違いなく、裏アカデミと出会った高校一年生の頃だと答える。
本当に、本当に濃密な一年だったから。
あれからもう2年か……
あの頃は本当に毎日が驚きの連続だった。
今まで経験してこなかったゲームとの出会い。
それに伴う多くの人達との出会い。
そして、自分との再会。
自分探しなんて言葉は両親が子供の頃に流行った死語かもしれないけど、だからこそレトロゲー愛好家の俺にとっては重要な意味があった。
長く続いていた自分探しの旅が終わった一年でもあった。
心の奥底に沈んでひっそりと漂っていた自分自身を浮上させるのに、一体何年の月日を費やしてしまったんだろう。
でも、それも俺の人生の一部だ。
ないならないなりに、周りに迷惑をかけながらでも精一杯生きていた日々も決して無駄じゃない。
今度は自分が周りに優しくする番だと、そう思えたから。
あの激動の一年が過ぎた後も、俺の周囲は時折慌ただしかった。
例えば星野尾さんは幾つも兼任していた仕事の中の一つ――――
「はい取れ高オッケー! すぐ編集するから待ってて!」
動画投稿者として成功を収めた。
きっかけは、俺が代理マネージャーをしていた時にした声優の仕事。
あの時に星野尾さんは動画を撮っていたらしく、ドキュメンタリー形式でその収録風景を投稿したところ大バズり。
ただのメイキングだったらそう上手くはいかなかっただろうけど、あの時の現場は仕事に拘る星野尾さんに対して時間が押している事に苛立っているスタッフもいて、それをそのまま動画にした事で大きな論争を生んだ。
売れっ子じゃない星野尾さんがアフレコに拘りを持ち込む事への賛否。
それに対するスタッフの反応への賛否。
そもそも星野尾さんの声優業が本業なのか副業なのかゲストなのかの討論。
決して殺伐とした動画じゃなかったけど逆にそれがリアルに映ったのもあって、ネットニュースになるくらいの騒ぎに発展した。
この騒動をきっかけに16もの職業を持つ星野尾さんに注目が集まり、チャンネル登録者数が激増。
色んな人気Youtunerからコラボのお誘いが来て、アイドルオタクやゲーム実況者顔負けの知識を披露したり各所で笑いを取ったりして大成功を収め――――
特に売れっ子にはなっていない。
「星野尾ちゃんってさー、忙しい割に全然儲かってなくない? 大丈夫?」
「うっさい! いーのよ名前が売れれば! 星野尾を知ってくれてる人が日本中にいる今が人生で一番楽しいの!」
シビアな事を言う来未に対し、星野尾さんは笑ってそう答える。
もう大分付き合いも長くなった二人らしいやり取りだ。
来未もあれから大分変わった。
カフェ内で行っていたコスプレは引退。
今は普通の女子高生を満喫している。
アニメへの興味も以前ほどじゃなくなった。
純粋に飽きたのか、他に熱を入れる事が出来たのかは定かじゃない。
取り敢えず彼氏は出来ていないようだけど時間の問題だろう。
可愛いからなウチの妹は。
しかも取っ付きやすいしオタクに優しいギャルの素養もあるし、そりゃモテない訳がない。
まあ、彼氏が出来たからといって兄貴面して圧をかけるような真似はしないつもりだ。
俺は理解ある兄だからな。
「自立した生活を送るのなら、実入りの良い仕事を選ばないと後悔するんだけどね。付き合いが長くなったからって支払いが良くなる現場はまずないよ」
「うっさいうっさい! 業界に染まって汚れた泥声優はあっち行ってて!」
「泥声優って……」
星野尾さんに呆れ気味な声で、それでも笑顔を向ける朱宮さんは……現状維持。
勿論、人気声優っていう狭き門の世界で現状を維持するのがどれだけ大変なのかは想像に難くない。
山ほど出演した女性向けスマホゲーの一つが大当たりしていて、そのイベントが年中あるから今後も暫く安泰――――というのがファンの見立てらしい。
ちなみに現状維持なのは星野尾さんとの仲もそう。
人気声優ってモテモテのイメージだから、星野尾さんも気が気じゃなかったと思うんだけど、今は寧ろ朱宮さんの方がヒヤヒヤしてそうだ。
「アケさんにピッタリじゃない? 泥臭く努力し続けてる所とか」
「才能がないからね……そっちとは違って」
「ボクに才能があるかどうかなんて誰もわからないよ。ボク自身があると信じてるだけで」
「そう言えるのが天才なんだと思うよ」
朱宮さんの隣で相変わらず掴み所のない表情をしながらも何処か楽しそうにしているrain君。
正直、ここに来て貰うのが畏れ多いくらいの売れっ子漫画家だ。
あの年に初めて漫画に挑戦したrain君は、その漫画『カフェは毎日が戦場です!』が巻割15万部のヒットになり、現在水面下でアニメ化企画が進行中……と本人が言っていた。
こんな裏事情を俺達にバラすのはダメな筈だけど、取材協力者って事で特別に教えてくれた。
もし担当さんがこれ知ったら大激怒だろうな……
漫画の成功でrain君の人気と商品価値は更にアップし、デザインを手掛けたVtunerの鍵宮クレイユを『カフェ戦』にゲスト出演させた事で知名度も上昇。
現在はチャンネル登録者数93万人を誇り、100万人突破も見えてきた。
咲良ひなげしとのコラボも積極的に行っていて、去年末発売された『Virtual[P]Raise』も取り敢えずシリーズ化できるくらいの売上は記録したらしい。
その影響で咲良ひなげしはゲーム内のVtunerキャラで一番人気となり、ゲーム外でも実際にVtunerとして活動する事が決まっている。中身は勿論、星野尾さんだ。
そして、ある意味そのrain君とは対極にあるのが――――
「羨ましいです。私もその才能の1割くらいでも欲しかったんですが」
細雨だ。
あれから細雨は別人のように変わった。
京四郎さんとは劇的に和解した訳じゃないけど、コミュニケーションが取れるくらいにはなっているらしい。
母親とも連絡がついて、年に3回会っているそうだ。
復縁は絶対にないと断言されたそうだけど、少なくとも音信不通だった頃と比べれば雲泥の差だ。
その影響で細雨は明るくなった――――かというと、決してそんな事はない。
15年以上かけて丹念に作ってきた性格がそう簡単に変えられたら誰も苦労しないし、そもそも明るくないから悪いって訳じゃない。
細雨は細雨のままで大きく変わった。
一番の驚きはrain君と交流を持つようになった事。
これは物凄い事だ。
きっと憧れもあったんだろう。
自分のコンプレックスと向き合って、何処かで折り合いを付けて、その上で下した決断だったんだと思う。
rain君がレトロゲー好きなのも大きかった。
そしてもう一人。
「来未は細雨っちの絵も好きだけどなー。才能とかわかんないけど刺さる人絶対多いと思うよ?」
「あ、ありがとうございます……」
ゲーム好きって訳じゃない来未とも親しくなった。
しかも俺経由じゃなく、いつの間にか。
細雨は強くなった。
そして視野を広げた。
もう昔の細雨じゃない。
「ねね。だからさー、今度はイケメンの絵も描いてみない? 裸の細マッチョなやつ」
「ぴきっ」
……まあフリーズ癖は今も治ってはいないんだけど。
あと来未、なんか聞き捨てならない事言ってなかったか……?
「はい! そんじゃそろそろ始めさせて貰いますよー!」
「本日は貸し切りだから気兼ねなく騒いでくれな!」
ゲームカフェ【ライクアギルド】――――LAGは今も引き続き存続している。
『Virtual[P]Raise』内で実名のカフェとして登場し、rain君の漫画が当たった事で一部のファンから聖地扱いされる事になったけど、それは余り関係ない。
そういうのはアニメ化されて初めて騒がれるものだし。
このカフェが今もまだ続けられているのは両親の努力。
コスプレはやめても週3で手伝いを続けている来未の奮闘。
そして……
ゲームが今も現役だからだ。
あの一年を契機に、LAGで扱うゲームの種類は劇的に変わった。
スマホゲームも積極的に扱うようになった。
今もコンシューマが好きな気持ちに変わりはない。
閉じた世界で自分の想像を膨らませて、旅立ちから完結までノンストップで遊べるコンシューマが一番好きだ。
でも、オンラインゲームの良さも知っている。
スマホゲーのお手軽感も嫌いじゃない。
キャラの多さは雑多に映る時もあるけど、賑やかで華々しいのは遊んでいて素直に楽しく感じる。
「それじゃ、深海の大学合格記念パーティーを開催します!」
だから、こうやって皆が集まってくれた事も心から喜べる。
別に賑やかなのが嫌いな訳じゃなかったけど、以前はもう少し居心地の悪さを感じていた気がする。
気を遣わせてしまっているって感覚が常にあったからだ。
今はもう、その時の自分を思い出せないくらいに喜怒哀楽を表情に出せるようになった。
だから自分の感情を伝える事が本当に楽になった。
「お二人ともなんかすみません。忙しいのにこんな田舎に足運んで貰って」
「またそういう事を。僕達は来たいから勝手に来てるだけだよ」
「そそ。締切りに追われてると誰かを呪いたくなるから、ガス抜きは必要」
そうは言ってくれるけど、一般人の俺のお祝いに人気声優と人気漫画家を山梨まで来させるのは流石にね……
でもこの二人、何かと時間を作ってウチのカフェに来てくれる。
東京からは決して近くもないのに。
レトロゲー愛好家の結束は想像以上に固い。
「それに、アケさんはともかくボクの周りにはリアルタイム世代があんまりいないからね。当時の話を聞けるだけで心の栄養になるんだよ」
「俺もまさか令和の時代になってエロゲで語り合えるとは思わなかった」
rain君は親父とアダルトなゲームについて情報交換しているらしい。
最近も【級友2】がリメイクされるのを受けてSIGNでよく話している。
息子としては純粋に恥ずかしい。
「はい注目! 最初の挨拶を本日の主役がしますからね! 自慢の息子を見てあげて!」
「兄ーにがんばれー!」
後、身内のテンションがやたら高いのもちょっと恥ずかしい。
でも同じくらい嬉しい。
その気持ちも、ようやく100%伝えられるようになった。
「……えっと、本日はお集まり頂きありがとうございます。皆さんの御支援と御協力のおかげで無事、東王福祉大学 心理・医療福祉マネジメント学部 心理マネジメント学科に合格できました。4月から東京で一人暮らしを始めます」
だから、俺の事も一応伝えておこう。
自分の進路に関して意識し始めたのも高校一年生の時。
散々お世話になったアヤメ姉さんと同じ精神科医を目指そうとも思ったけど、それ以上に俺が関心を持ったのは――――ゲームを使っての医療という京四郎さんが掲げた分野だ。
勿論、それが必ずしも医療として普及するとは限らない。
まだまだ出来たての分野だ。
けど最近は福祉や医療分野にゲーム技術を応用する為の研究を行っている大学や一般社団法人もあって、そういう道が拓かれていると知った事で、一気に気持ちが傾いた。
持論を変えるつもりはない。
ゲームはあくまでも娯楽で、自分を救ってくれたのはゲームじゃなく人だ。
だからこそ、そこの線引きには誰よりも敏感でありたい。
この先、ゲームが本格的に医療分野で応用される時代が来たら、ゲームを娯楽と捉える人が減るかもしれない。
それなら医療分野特化型のゲーム技術をより専門的な方向で実用化できれば、娯楽として楽しめるゲームと差別化できる。
ゲームは娯楽。
それを守る為には、色んな分野に応用されるゲーム技術を全て理解した上で、それでもゲームは娯楽だと主張できるだけの知識と実績を持たなくちゃいけない。
そう考えた瞬間、受験すべき大学が決まった。
「この学科ではゲームの医療分野への応用を研究している教授がいて、クリティックルとの共同研究も進められています。そこで自分のやりたい事を学べればと思ってます」
だからこの2年くらいはゲームをする時間が大幅に減ってしまった。
でも後悔はない。
全くやっていなかった訳じゃないし、これからも自分なりにゲームと向き合っていく為には必要な時間だったから。
「結局、ワルキューレはクリティックルの傘下になるんだっけ?」
「はい。お父さんとも和解できたみたいです」
独断専行のように見えた京四郎さんの行動も、実際には裏である程度までは情報共有していたらしい。
アカデミック・ファンタジアのサービス継続が今後難しくなっていくと判断した京四郎さんは、スタッフがこれからも食っていけるよう別の受け皿を用意する形を望んだ。
勿論、第一には自分のやりたい医療分野との融合ってのがあったけど、それだけじゃなくワルキューレの事もちゃんと考えてた。
とはいえ、ワルキューレのスタッフも全く未知の分野に移籍するのは抵抗がある。
だからワルキューレとして続けられるギリギリの所まで続けて、その間にクリティックルが基盤を固めて、出来るだけワルキューレブランドをそのままで残せる環境を整えてから完全子会社にした。
本当に捻くれているけど、これが大人の社会のやり方なんだろう。
俺も数年後にはそこで生計を立てていかなきゃならない。
大変だけど頑張らないとな。
何しろ――――俺の人生はもう自分一人の問題じゃない。
「いや本当に良かったよ……去年あれだけ世話になっておいて、深海君が本命に受からなかったなんて事になったら」
「そうねー。お詫びしてもしきれなかったかもね」
「二人ともうるさい」
身内プラス三人の期待を背負っているんだから。
水流……瑪瑙と恋人同士になってから、ずっと遠距離恋愛って形で俺達は交流を深めていった。
去年は瑪瑙と来未が受験シーズンだったから、三人でリモート勉強会も開いた。
幸い力になれたようで、瑪瑙の成績は一年で結構上がり、予定よりも一つ上のランクの高校に合格できた。
その件が御両親の信頼を勝ち取ったらしく、今は家族ぐるみの付き合いだ。
今日もこうして御両親ともわざわざ駆けつけてくれた。
お父さんの方は有給まで使ってくれて……
「な、なんかメチャクチャ親しくなってますね。メノちゃんの御両親と」
「お前と瑪瑙ほどじゃないけどな」
瑪瑙と細雨は俺が知らない間に更なる絆を深め、渾名で呼び合うまでになっている。
今では瑪瑙が俺に関する愚痴や相談を細雨に良くしているらしい。
細雨の成長を喜ぶべきか、瑪瑙に気苦労をかけている事を反省すべきか……両方だな。
「とにかく、俺の合格祝いは口実なんで。後はもう好きに飲んで食べてして下さい。母さんの料理はどれも美味しいんで」
「良い事言う! もうホント自慢の息子!」
その言葉をそのまま返したい。
母さんは俺の自慢の母親だ。
「深海もついに家から出る年齢になったか……感慨深いな」
「親父……」
「まあ来未がいればお前は別にいなくても寂しくはないけどな」
「おい」
「冗談だ冗談。寂しくはなるが、いつだって会える距離だ。たまに鬼SIGNしてやるから安心しろ」
親父は特に自慢する所はない。
……そういう訳なんで、俺の事は何も心配は要らない。
もし表情の事で気を揉んでいたのなら、どうか安心して欲しい。
これから先、貴女の事を思う時間はあまりないと思う。
正直記憶に殆ど残っていないから上手に悲しむ事はこれからも出来ない。
現状報告も、もしかしたら年に一回くらいになるかも。
ただ、これだけは言わせて欲しい。
俺の表情が戻った事は、貴女を忘れたとか気持ちが離れたとか、そんな理由じゃない。
ここに集まってくれたみんなのおかげだ。
それだけは伝えたかった。
後、大学に合格した事も。
あ、それと彼女と上手く行ってる事もか。
俺の母親は母さんだ。
でも、貴女が俺を産んでくれた事、少しの間だったけど育ててくれた事は一生忘れない。
ありがとう。
どうかこれからも俺達を天国から見守って下さい。
……あ、それともう一つ。
来年、ついにあのゲームがサービスを開始するらしい。
俺と瑪瑙、細雨、朱宮さんにとって特別なあのゲームだ。
アカデミック・ファンタジアは結局今年の3月末で終了する事になった。
ワルキューレがクリティックルの子会社になるタイミングで、ひっそりとサ終を迎える。
その後、アカデミック・ファンタジアの10年後を舞台としたゲームが始まる。
テストプレイでは精神医療との融合を目指した工夫を至る所で行っていたけど、正規版ではそういった要素は殆ど残さないらしい。
あくまでもあれは、俺達みたいな問題を抱えているユーザーを対象にした"実証実験"だ。
その実験で得たデータや感想は、医療との本格的なクロスオーバーを目指した別の作品に活かされるそうだ。
もしかしたら俺も、そのゲームにユーザーとは違う形で関わるかもしれない。
でもそれはまた別の話。
俺達が今、気になって仕方ないゲームは勿論――――
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――
――――――――
――――
……
「目が覚めたかい? シーラ」
ぼやけた視界が徐々に色と形を帯び、夢の中に潜っていた自分が現実へ還ってくる。
悪夢のような現実へと。
「ブロウ。俺が寝てる間、何か変わった事は……」
「ないよ。状況は変わらず最悪。国王は僕達を見逃す気はないらしい」
それはそうだろうな。
ビルドレット国王にとって俺達は殲滅すべき存在。
何処までも執拗に追い詰めてくるだろう。
「失礼します。ブロウさん……あ、シーラ君も起きてましたか」
「おはようリズ。何かあった?」
「はい。この隠れ処が国王軍にバレたとヘリオニキスさんから連絡が」
「ありがたい情報だけど……最悪の上塗りになったね」
国王がイーターと組んでいる事が判明した、あの理将就任式典の日……俺達は人類の敵と見なされ、王城から命からがら逃げ出した。
その途中でリッピィア王女達ともはぐれてしまい戦力は激減。
俺、リズ、エルテ、ブロウの四人だけになってしまった。
相手が国王軍ならレベル150のブロウや87のエルテが十分対抗できる。
でも奴等はイーターを使役できるかもしれない。
ドラゴンスライム一体相手にあれだけの人数でギリギリ勝てた事を考えると、この四人で対抗するのは難しい。
だけど俺達は何一つ諦めちゃいない。
仲間を集めて、あの時の戦力をまた結集させれば必ず事態は好転する。
いずれまた、単身でもイーターと戦える日が来る。
楽観的かもしれない。
でも、討伐数0を1にしたんだ。
0から1にする事に比べたら、1を10、100、1000……と増やしていく事はそう難しくない。
『ひとまず逃げるべきだとエルテは主張するわ』
そのエルテの言葉に全員が頷く。
この隠れ処は気に入ってたんだけど仕方がない。
何事も変わらずにはいられないんだから。
これからも苦しい戦いは続いて行くだろう。
重要なのは生き延びる事。
圧倒的な脅威を前に絶望的状況に追い込まれても、過去の経験や知識、そして逃げを打つ勇気を持っていれば明日は必ずやって来る。
今はどうにもならない強敵を倒せる未来は、きっと何処かにある。
これは、その未来を探し出して勝ち取る戦いだ。
長期戦なんて承知の上。
何十年かかろうと、この火を灯し続けていれば世界はいつか必ず明るく輝く。
特別な技術革新や救世主の出現――――そんな都合の良い話も100年、200年経てば現実的だ。
「それじゃいつもと同じで」
「ああ」
「わかりました!」
『了解とエルテは頷くわ』
仲間との意思の疎通を終え、俺達は荷物を抱え隠れ処から飛び出した。
なんて情けない冒険。
思わず笑っちゃうよね。
でもそれもまた、皆が一緒だと楽しい。
この
クリアデータのセーブを
行いますか?
⇒はい
いいえ
寝落ちの君とワールズ・エンド 馬面 @umadura
★で称える
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