関東に季節外れ気味の台風が接近中の日曜日。ちょうど読み終わったので、レビューを書いています。
この作品はずっとフォローしてました。確か...、平原志恩さんの別作品を読んだ時にフォローを始めたように記憶しているのですが、改めて自分のフォロー履歴を確かめても作者の作品が無いので、初老の耄碌した脳味噌の勘違いかもしれません。
もしかして、作者が別サイトに作品を移したのかもしれませんし、そう考えると一期一会とも思えます。
さて、本作品ですが、ヒロインが或る場所で誰かと出逢った一期一会と呼ぶべき遭遇に背中を押される事で物語が回転し始めます。そう平凡なコメントを書くと、「大概の小説はそうだろう!」とツッコミが入りそうですが、だってネタバレになるんだもん。
1つだけ言うと、私はタイトルから、雨宿りしたバス停か何かで男の子と一緒に何時間も過ごしたヒロインが恋に陥る物語なんだろう、と予想していましたが、全く違いました。
大好きな人に彼女が出来た。
最初はその事実にショックを受けていた美麗ちゃん。だけど。
自分はちゃんと努力をしていたのか?
自問自答の後、彼女は過去に戻りたいと思います。
老婆によって一年前に戻った彼女。ただ一つ、絶対に後悔だけはしない。そう決めて。
大好きな人の隣に行くために努力をし続ける美麗ちゃんがとても健気で、読んでいて本当に背中を押したくなります。その努力によって変わっていく日々。
一度目のときは関わりのなかった鞠ちゃんや琴平さんとの関わり方が、美麗ちゃんの成長や変化を浮かび上がらせていて、そして西本さんの行動も、美麗ちゃんの心の変化に影響を与えます。
それがすごく、なんでしょう、とても心地よいです。
個人的に影森先生がお気に入りです。とても素敵。
文章も綺麗で丁寧で、感情の描写も鮮やかで。
読了後。爽やかで幸せで、思わず息が漏れてしまいました。
読んでよかった。間違いなくそう思いますので迷われてる方はぜひ読んでみてください。絶対に後悔はしません。あ、でもこれだけは。
すさまじく時間泥棒です。
先が気になって途中で止める、ということができません。なので、お時間のあるときにじっくり読んで、ぜひこの素敵な世界に浸ってみてください。
SF風味な恋愛もの。
想い人の衝撃的な現場を目撃してしまったのちに老婆と出会い、タイムリープしてやり直す! というのがこの作品の主題。やり直す過程で喫煙事件や体育祭などの出来事に些細な変化があったりして、一周目とは全く違う一年を過ごすことになります。それによって主人公の女の子は精神的にも変化していきますし、それ以上にもっとすごい変化(ネタバレになるので詳しくは語りません)があり、読み応えのある内容となっていました。
また人物描写といいますか、登場人物の人間関係がリアルであり、高い文章力も相まって恋愛ものとして引き込まれる作品になっているところがよかったです。
心ときめく恋愛ものを探されている方は是非一読してみてください。
とにかく面白い、とにかく先が気になる、とにかくハッピーエンドを期待してしまう、それがこちらの物語です。
本当はこのレビューも飛ばして本文を読み始めてほしいくらい。
物語は美麗というごく普通の女の子が、憧れの藤倉君に振り向いてもらおうと、過去に戻りいろんな努力を重ねていく話です。美麗の藤倉君への一途な思い、その努力する様は王道といってもいいラブストーリー、しかしここにファンタジーの要素がくわわり、ミステリー風味もたっぷりに、実に味わい深い物語へと変わっていきます。その様が実に丁寧に、読みやすく語られていきます。
過去を改変することに対する主人公の複雑な心境、変わっていくことで得られる友情、罪悪感を背負いつつも懸命に頑張る姿、やがて変わっていく二人の関係、それでも物語にはどこか暗い影が付きまとっています。このあたりがまた絶妙です。
そして最後の急展開と、静かに流れていくエピローグ。読み終えた後の読後感もとてもいいものでした。もちろん結末は自分で確かめてみてください。
なんというか、一つの物語を読み耽りながらいろいろな感情が押し寄せてきて、それをレビューという形で端的にお伝えするのが難しいのですが…。
とにかく、素敵で素晴らしい作品でした。
小さな生き物にも細やかな愛情を向け、憧れの彼と同じ高校へ行くために血の滲むような努力をするひたむきさを持った美麗。
ただ自分に自信がなくて、一歩を踏み出す勇気が持てない、そんな普通の女の子が、タイムリープすることによって後悔のない高校生活を送ろうとします。
引っ込み思案なのにクラス委員を引き受けて彼に近づく勇気、自分を庇ってくれた人を守る勇気、体育祭でのアクシデントにもめげずに走り抜く勇気、藤倉君を庇う勇気…。
後悔したくない、ただそれだけのために彼女はひたむきに前へ進んでいきます。
読み進めながら、彼女のひたむきさを応援し、その努力が実を結ぶことで一緒に幸福を味わうことができました。
ところが、彼女はそのひたむきさゆえに、彼を想う純粋な心に少しずつ染みを広げていくのです。
嫉妬、自己嫌悪、エゴイズム。
誰の心にも巣食うその感情に苦しむ彼女を、読み手である私は胸を締め付けられるような思いで見守ることしかできません。
そして彼女が本来あるべき姿に気づいて後悔したとき──
そこから先はさすがに書くことは控えておきます(笑)
けれどもこのタイムリープで彼女が得た感情や経験は、引っ込み思案な彼女を変えたはず。
沢山の感情を美麗とともに味わえた幸せ、二人の未来を見通せた幸せ、素敵な物語に出逢えた幸せで満たされた気持ちになったのでした。
皆さんも、この充足感をぜひ。
好きになった男子に想いを告げるべく、不思議な老婆にしたがったところ、想像を超えた現象が起きる。いま主人公の女子高生、月島美麗の物語が始まった。
読了し、とんでもない感動に包まれています。ちょっぴりファンタジーな展開はありますが、とても素敵な恋愛小説、それもとびっきり素敵な恋の物語です。
相手に振り向いてもらえるように、懸命に努力する美麗。そこにあるきっかけで親友になる鞠。二人の友情もこのお話にはとても大事なエッセンスです。
エピローグに差し掛かった時には、どうかどうか二人にハッピーエンドを! と手を握りしめながら読み進めました。
このラストシーンに感動しない読み手は皆無でしょう。
文章も丁寧で読みやすく、構成もきっちりとされており読み手の心を掴んで離しません。
こんな素晴らしい物語が、ここにあります! ぜひ多くのかたにお読みいただきたいと思います。
たぶん起承転結の「承」が終わったあたりですが、一気読みに近いです。これまでカクヨムでたくさんの文章を目にしてきましたが、これほどのストレスフリーの描写は数えるほどしかありませんでした。ボク自身が、恋愛物を読むのも書くのも得意だとは言えないことを考えれば、すごいことだと言わざるをえません。
ストーリーは斬新とは言えませんが、続きが気になって仕方がなく、さくさく読み進められます。つまり、ボクのように変化球を多投するのではなく直球で勝負できる文章なのでしょう。主人公の一人称の語り口がとても心地良く、情景や心理描写がスーッと頭の中に入ってきます。時々、女子高生ならぬ難しい言葉が出てきますが然程気になりません。
おそらく、これから「転」が訪れ、一筋縄では終わらないのでしょうね。ただ、ボクの中でラストに向けた期待感がすごく大きいです――と言うわけで、この時点でレビューを書かせてもらいました。
作品を楽しんでいるのはもちろんですが、描写――特に心情描写なるものが苦手なボクとしては「勉強」の比率の方が高いです。素晴らしい作品に出合えた偶然に感謝したいと思います。