もしも私に力があったなら

この小説を本にしたい。
無地の、まっさらな、でも少しざらりとした触り心地の表紙で。

世界は複雑すぎて、だからこそ、この小説は面白い。
読み終わった後でもやっぱり表紙は白だと思ったのだから、私の第一印象は間違っていなかったのだろう。

大人に変わっていく強い三浦ちゃんと、
和紙に滲む水滴みたいなマコトさんが印象的でした。
二人とも主人公の「恋人」でありながら、全てが真逆で。

きっと私はこの小説が本になっても、何冊も買ってサイン会にも行くような熱狂的なファンにはなれないと思う。本当はしたくても出来ないと思うから。
だけど、その一冊を買って、自宅の本棚のお気に入りの棚に置いて、時々読み返しては「あぁ、これでいいんだ」って考える。同性愛者かどうか、という話ではなく、彼の進む道に、考え方に共感した、というか。
自分の背中を後押ししてくれるような、そういう本として、売ったりあげたりすることなくずっと手元に置いておくんだと思う。そういうファンにはなれる。大事にできる。
これは、私にとってそういう物語だ。

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