この小説は、小説の持つ力を再確認させてくれる希望だ

私の人生に影響を与えた小説は、いままで2冊だった。それが、今日、3冊になった。
1冊目は、J・K・ローリングの「ハリーポッター・シリーズ」だ。これがなければ、今の私は多分小説を読んでいないし、ここにこれを書き込むことも、2冊目の本と出会うこともなかった。このシリーズは全世界で3億冊を超えるベストセラーだ。
2冊目は、ヨースタイン・ゴルデルの「ソフィーの世界」だ。これがなければ、今の私は別の私だったと思う。この小説は、読者を分解し、再構築する力を持っている。こちらも全世界で2500万部を超えるベストセラーだ。
そして、3作目となったこの小説は、書籍にすらなっていない。世に出てもベストセラーになるかは分からない。それでも、私に与えた影響は世界的にどれだけ評価されている小説よりも、大きい物だと思う。
この小説が取り扱っているのは、性的マイノリティと腐女子だ。しかし、この物語は私たち一人一人になる。作者がこの題材を選んだ理由は知らないが、結果的にこの題材のチョイスは、極端な例を読み進めて行くうちに、共感し、身近に考えさせる効果を生み出している。だから、この物語の主人公の属性をゲイではなく、例えばアニオタと呼ばれる人だったり、もっと細かく言えば学校教師、小説家、企業戦士などに変えることもできる。プロットは変わるだろうが、それでもゆくつく先は同じだろう。無論、この物語の主人公を私に置き換えることだって出来てしまう。
それは、綺麗事の代名詞とも考えられている「みんな違って、みんな良い」をこれ以上なく丁寧に表現した作品になっているからだ。そして、その結果、綺麗事は煤汚れてしまったけれど、確かに読者の心を掴むことが出来たのだと思う。道徳の教科書に載っている、綺麗事だけとは違う、だけど綺麗事に染まっていて、読者を綺麗事に染めることができるこの物語は、小説の持つ本来の力を、再確認させてくれた。
ところで、私にとってクィーンというバンドは、ジョジョのスタンド名の元ネタに使われているという程度の認識でしかなかったが、これから聞いてみようかなと思う。
最後に、このレビューは書きたいことをまとめずに書いたから、すごく読みにくいと思う。だけど、これを読んだ人が、この小説を読んでくれることを祈ってる。

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