同性愛についてどう思っているかに関わらず、読んでほしい。

セクシャルマイノリティーという言葉がいくらか浸透してきたにせよ、日本社会においては同性愛者に向けられる視線はまだまだ冷ややかなものであると思います。
この作品ではその生きづらさ・息づらさが、主人公の現実問題として赤裸々に語られます。
流行りのラノベ的なタイトルとは裏腹に、その内容は非常に真摯かつヘビー。
主人公の純が直面する懊悩と葛藤に、何回も何回も心がずたずたになりました。

前半は淡々とした語り口の中に、時おり切れ味鋭い一文が現れてハッとさせられます。
綺麗な海の映像を観ていたら、急にザザッとノイズが走るような(例えが悪いかもしれない…)。
後半は主人公のある行動により、取り巻く事情が大きく動きます。

ネタバレになるのであまり多くは書けませんが、題材も洒落た文体も伏線も構成も素晴らしかったです。
あと個人的な好き嫌いで言うと、自分は三浦さんが一番好き。明るくて大胆で可愛いです。

とにかくこの作品を読めて良かった、の一言です。
同性愛についてどんな思いを持っている人でも、最後まで読んでほしい。
そして、考えてほしいです。

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