恋が愛を救う瞬間を見た

 キャラクターの等身大の描かれ方、専門的な研究内容など、リアルな大学生活を背景に、好感を持ちながら読み進められる恋愛模様。

 また、美しさを感じられる数々の事柄は、芸術であったり、料理の美味しさであったり、二人の恋も勿論のこと、家族愛でもあったり。

 終盤、京子が啓一の家庭環境に触れ、その救世主となる様は、まさにレビュータイトルの如く、恋が愛を救う瞬間である。
 誰かを想い、誰かの為に行動する、美しさの欠片はここにもあった。

 激しく恋い焦がれるような展開はない、料理だって焦がしてしまっては台無しである。
 ある意味、幼く。ちょっぴり大人。
 甘く優しく満たしてくれる、そんな読み応えのある物語である。

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