読み心地快濶、平安時代モチーフの『恋愛ファンタジー』

まず注意しておかねばならないのは、これが時代小説ではなく恋愛ファンタジーということでしょう。「時代ものはややこしいから見るのは敷居が高い」と思っている方がいるならば、それは誤解だ。この作品は、歴史の知識がなくてもスラスラ読める作品である。そもそもジャンルが「時代・歴史」ではなく「ファンタジー」なところで察して欲しいところではあるが。
文章はライトノベル調で簡潔、説明も無駄がなく実に爽快に伝わってくる印象があった。また如何にもweb向けといった感じの文章構成がされており、その面でも読みやすかったように思える。全体で9万字程度の文量なので、読了までさほど時間がかからないのも良い。通勤・通学や仕事・学業合間の空いた時間に読み進めるのも手である。
実を言うと、筆者は恋愛小説が苦手で、あまり読みたいとさえ思わない。恥ずかしながら、平安ものと聞いておびき出されたクチである。それでも最後まで読むことが出来たのは、これひとえに物語が面白く、吸引力と魅力があったからに他ならない。繰り返すがこれは時代小説ではない。誰もが気軽に読める恋愛ファンタジーである。
多くのレビューが物語っているように、中身が濃い上にスラスラと読める作品であることから、実際に読んで楽しむことを強く薦める。

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