リアリティとファンタジーの華麗なる結婚……!

現時点での最新話に当たる「ロシアの地にて 雑記」までの感想となります。
まずはその並々ならぬ知識に裏打ちされたリアリティある描写に圧倒されました。主要キャラ二人が共に四十代というやや高めの年齢設定も珍しく、これが〈大人の物語〉であることを再認識させられます。
もう一つの特長たる伝奇的要素もまた物語上の単なるスパイスに留まらず、ジャンル編成により新設された現代ファンタジーと呼ぶに相応しい
ものです。浅瀬でバチャバチャ戯れるようなライトなファンタジーも少なくない中、こちらは細部まで作り込まれた設定にどっぷり浸かれます。真実味が違うのです。
リアリティとファンタジーの華麗なる結婚。安易なミクスチャーとはおよそ次元の違う、ジャンルの壁を軽々と突き破る驚異的快作の胎動を感じます。
ロシア編の次は、どのような世界へ読者を導いてくれるのでしょう? とても楽しみです。

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