そうだ、おっさんになろう!(オッサンだった……)

 まず、面白い社会システムを描いているな、と感心しました。
 実際に、不況下では年の差婚が増えるという話もありますし、好きなだけでは結婚生活も破綻していくでしょう。

 進路希望調査に『お嫁さん』の一文でもう、クスリと微笑ましい気持ちにされた反面、少年の切ない失恋模様にもチクリと心が痛みます。

 二人の約束が、こういうラストで形を変え実を結ぶという、どこかセンチメンタルな余韻を残しつつ……

 読めば読むほど、どこか空恐ろしさを背中に感じます。
 思春期を持て余した若い男性からしたら、もう鬱屈とした世界、地獄ではないでしょうか。

 いとこの女性教諭のその後が知りたいですね。
 彼女の言葉だけが、この社会で唯一の希望に思えました。

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