共感はしない お安い「わかるよ」は君の棘からヒカリを奪う
- ★★★ Excellent!!!
詩歌の良し悪しはよくわからない。
古今東西、どんな文化圏の作品であれ、
解釈や感想を求められても、うまく言える自信がない。
でも、美しいかどうかはさておき、
刺さってくる作品というものは確かに存在する。
短いぶんだけ鋭利な何かが、ぐっさり刺さってくる。
痛いなあ、と。
その痛みが好きだなあ、と。
ゆうしゃのぼうけんを読み進めた。
たからばこ あけられないのがたくさんで さいごのカギはみつからないまま
詩歌を分析や指摘や批評の俎上に載せるって、
一体どうやっているんだろう?
いちばんを選んだり表彰したり、よくわからない世界だ。
十七の鉛のブレザー 本音なら筆箱の中、詠み人知らず
進学校の高校時代、私もたまに短歌を書いていた。
小説を書く時間が取れず、31字に感情を詰め込んでいた。
読み返してみると、自分でも意外な言葉がけっこうあった。
勉強も大事、遊びも大事とか、あたしはママのやじろべえじゃない
絶対値でくくれば等しいベクトルもホントは違う方向指してる
ネバーランド忘れたおとなは空を飛ぶために翼がほしいと嘆く
世の中には愛よりむしろぶつかるとマイナスになるiが多いね
「甘えてもいいよ」? 格好つけンなよ 棘も持たない温室育ちが
骨折の傘はコンビニに置き捨てて泣いているのは空だけじゃない
短歌の勉強をしたわけでもなく、ただ何となく。
ちょっと手が付けられないくらい牙を剥いていた当時の自分を
書き付けておいてよかったと、今は思っている。
折句や冠沓などの遊びを詰め込むことはできても、
美麗な装飾を施す余地のない短歌は、
詠み人の剥き出しの感性に、じかに触れられる。
この手で触れれば壊したり汚したりしそうで、
あるいは海の生き物のように火傷をさせてしまいそうで、
怖くなりながら、ひっそり、ゆうしゃの旅に付いていきました。
あきらめてひらきなおって闇よりも怖い朝日を浴びてみようか