入れ替わる人格、崩壊する自我に謎が謎を呼んでいく……。

兄弟の人格が入れ替わるお話です。

実は読む前は、小説で入れ替わりものは鬼門なんじゃないかと敬遠していました。映画やテレビドラマみたいに映像がない分、今どっちがどっちだかわからなくなってしまうので。

しかし読んでみると、このお話は小説であることに意義があると思うようになりました。
今入れ替わっているのか、読み手がわからなくなる。しかしこの兄弟たち二人も、自分が今どちらかわからなくなっていく。
この感覚が奇妙なリンクを起こし、気づけば物語にのめり込んでいました。これを著者様が狙って書いているのだとしたら、脱帽ですね。

そしてミステリーのような構成が光ります。入れ替わるたびに謎が出てきて、最後に一気に明かされる。果たして兄弟の人格はどうなってしまうのか、とても見ものだと思いました!

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