魂の奏でる旋律が重なり……とけ合うとき

自分とは一体なんなのか。自分というものの実態は、肉体なのか、記憶なのか、感性なのか。
悲しい事故をきっかけに、入れ替わり、重なり、そして融合していく静と動の二つの主題。
魂が肉体から遊離して曖昧になっていく二人が立ち向う真実と、そして迎える結末とは。

音楽に情熱を注ぐ全く感性の異なる双子を主題に、重なっていく旋律は、心に何か騒めきのようなものをもたらす不思議で美しい作品でした。

構成が少し難解であったり、視点の変化などで戸惑う感覚はありますが、音楽の幻想的な響きを文字から生き生きと感じることができ、登場人物の情熱などを生々しく感じることができる独特の魅力がありました。

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