「お見事」と嘆息してしまう、完成度の高い掌編

どのレビューもオチの秀逸さを褒めているが、ぜひ肩肘を張らずに一読して頂きたい。無理にオチを読もうとしない方が楽しめる(と言っても、これほどオチについて言及するレビュー群を先に見てしまったあなたには難しい話かもしれない)。


基本的に、良作は前情報一切ナシで読む方が面白い。レビューの読了時間と本編のそれは大差ない。ぜひ先に本編を見てきてほしいと願った上で、以下は筆者の自己満足によるレビューである。




落ち着いた、とても短い時間のふたりのやりとり。SFとしてのテンプレを彷彿とさせつつも、点々とする違和感。
作者自らが「ミステリー要素もある」と述べるとおり、集中して推理すればおそらく結末を見る前にオチを読める。良いミステリーとは合理的にオチを読むことができる(十分なヒントがある)ものだと僕は考える。そしてその中でも、ストーリーに没頭してついつい推理の意識を失ってしまう作品が僕は好きだ。つまりこれは良いミステリーであり、SFであり、僕の好きな作品だ。

SFとして読む人はミステリーという形態に触れてはっとするし、ミステリーとして読む人はSFという世界観に触れてじんわりと、ふたりの「存在する背景」に思いを馳せることができる。

ここまでこのレビューを読んで、まさか本編に向かわないという方はいないだろう。読了には3分もかからない。よいひとときを。

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