ヤンデレな彼女と青春の物語

「ヤンデレ」という、突き詰めれば腹を凶器で貫かれてしまうような物語になり兼ねない題材を、本作では高校生の青春の比重を高める事でマイルドに描かれている。

過去の贖罪、気持ちのすれ違い、伝わらない想い……もう一人のヒロインの出現で、物語は少しずつ泥沼の展開を予期させる。

それでも、憂鬱な雰囲気を感じさせないのは主人公の性格設定の妙ではないだろうか。彼を取り巻くサブキャラクター達との交流もいい具合にそれを緩和させている。

「病む」という感情は、誰にでも潜在的に秘めている純粋な恋心の延長でしかないのかもしれない。もう一人のヒロインの物語を読んで、私はそう思った。