完全にドラマ24のノリだろうなと思ってフォローしたのですが意外と中身は青春モノでした。
あれですね、主人公が強力な力を持ってるんですけど、なんか生きる目的見失ってて、周りに支えてもらったり、過去の因縁によってふっきれる過程を描く奴。
やまむら○じめ先生の作品(特にその空気)が好きな人はハマるかもしれません。
いや私、神ドとカム○ガラの冒頭読んだだけなので違うかもしらんですが。
以下、ネタバレを含むのでちょっと下げます。
ストーリーがすごくまとまっているなというのが一番の印象。
過激派坂上の悪巧みを主題に、不自然のない展開かつ説得力のある説明が書かれていて、そらもうえらく感心しました。
ストーリーで魅せるタイプの作品というのは間違いないなと。
ただ、作品のテーマである主人公の成長表現がいまひとつ煮え切らない。
最後の主人公の成長をあらわす「掴む」という行為も、あれだけ俺は自分でどうこうと書いてありながらも、「へーはーふーん掴むってしょぼいね」くらいの感想しかもてませんでした。
「開いたぁぁああ!! 掴んだぁぁあああ!!」くらいは思って欲しいんだろうなぁ、ここ。
と、後から感想書くのに見直して気づいたくらいです。
正解なんて分からん(感情移入できないという私の感想が的を射ているかも分からん)ですが、もしそうだと仮定するなら、おそらくキャラクター性が弱いんじゃないですかね。
主人公の主体性のなさが、ただのいい奴、できる奴で終わってるように感じて、狙った読み手の感情を上手く引き出せていないのだと思います。
成長ものですから、主人公に克服するべきトラウマを与えるとか、あとはそれを表す能力の制約なんかがあればいいのでは。
とか、自分の作品でもないのに思ってしまいました。
こういう風に色んなことを考えられるというのは、作品としてちゃんとまとまっている証拠ですよ。
いいもの読ませていただきました。
設定がとてもいいです。
長野県にぽっかりと空いたダンジョン。その問題のあれやこれやを請け負うのが公務員。「うんうん」と頷きながら、読みました。
もういつのまにか「長野ダンジョン」の中に入り込んでいました。
更に読み進めていくと、決め台詞がバンバンと飛んでくる。
主人公イサナの「長野を甘く見ない方がいいっすよ」が、カウンターで入ったとき、いや、これは上手いと思いました。
そのイサナのメガネ女子上司がまたいいですし、作中に怪獣愛が見受けられるのがまた嬉しいところです。
あとあと、長野の美味しそうなものがたくさん出てきます。「おやき」を割ったら、中から山菜が出てくるんですよ。そりゃあ、大吉ですよ。
この作品はミステリー仕立て。構成も凝っています。はたして主人公は最後に何をつかむんでしょうか? 是非、是非、読んでみてください。