綿密な設定!秀逸な隠喩!時代を鋭く切り取る人間描写!!

タイトルからほのぼの異世界日常モノを想像していたら、意外や意外、どっしりした読み応えの本格異能バトル小説!

管理社会、利権構造、組織の歯車・・・地方公務員として、現代に根付くヒエラルキーを冷めた目で見通すやや無気力な主人公は、その気質だけでも現代ヒーローとしての要素を充分備えていますが、彼を取り巻く状況は彼のパーソナリティを決してよしとはせず、様々な葛藤を含んで物語が進行していきます。

市役所という舞台設定から主人公の能力まで、現代という時代、そしてそこに住む人々の心に内在する種々の問題を描き出す壮大な隠喩になっており、3万字余りの短さで無類のエンターテイメント性と抜群の完成度が実現された驚異的な物語です!

物書きたるもの、些細な描写も無駄にせず象徴的意味を付加すべき・・・書き手の1人として、そんな教訓をこの作品は与えてくれているように感じます。

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