死者が何を望んでいるかなんて、分かるワケない。

言わずと知れたあの風神レイシリーズの第2弾はうらぶれた廃神社が舞台。
幽霊とともに心霊スポット巡りに参加するという何とも滑稽な状況ながら、じっとり纏わりつく本格ホラーテイストの中で繰り広げられる惨劇はスリル満点!
悟史とレイの相変わらず初々しいラブコメコントからぐぐっとおどろおどろしい闇の奥底へと読み手を引きずり込むその描写力には目を見張ります。
推理モノに大切なトリックの発想も非常にユニークで、解決編では思わずなるほどと唸らされました。
前作では事件の多さに対し証拠の量が少なすぎて、単独犯か複数犯かなどの可能性を考えると鍵となる事件以外は推理が不可能という弱点がありましたが、今回はその辺りの考慮もきちんとなされているように感じました。
その上で、シリーズの共通項として「命」をテーマに据えた本作は、「死者が残す想いとは何か」「残された者が想いを汲み取るとはどういうことか」について深く考えさせてくれる良作です。

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