生きる時間と幸福の意味を思いを馳せる美しい物語

異種婚というだけでもなぜか胸がざわめく。種族を超えた愛なんてロマンチックと思ったりもする。
しかし種族が違うというのは、姿形が異なるだけではないのだ。それは生きる時間そのものが違ってしまうということ。
昔、「ゾウの時間、ネズミの時間」という本を読んだことを思い出す。命の時間の違いは、生の本質そのものの違いでもあるのだろう。
にもかかわらず。本質の違う種族の間で愛が生まれる。癒され、葛藤し、受容し、そして…。
この物語はとても美しい。異なる時、異なる本質のままに生きたリザードマンと娘の二人は、幸せだったと、心から信じたい、信じられる物語だった。

その他のおすすめレビュー

守分結さんの他のおすすめレビュー38