概要
その差出人は、世界から消されたという友人だった。覚えのない「三人目」の存在について、性格の違う二人はそれぞれ考える。手書きで長々と綴られた手紙、その内容を信じた一人と、信じられなかったもう一人。
やがて田中弘人はその存在を感じ取る。声が聞こえる、姿が見える、自分にしか分からない大事な友人。お前をこの世界に戻してみせるのだと彼は決意した。「三人組なんて無かったんだよ」。あいつ本人は、そう言うけれど。
やがて鈴掛明良はその人間を知る。不登校から復学してくるというクラスメイト。そいつを加えた三人組なら楽しくなるかもしれないと彼は想像した。「俺ってマイペースなの?」。実際のそいつは事前情報以上に変わったやつで、だけど面白
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!どっぷり浸れる青春小説!まだ読んでいない人がうらやましい!!
どこが面白かったかをうまく語れないくらい、すべてが好きだと感じた作品です。
スポーツや部活に熱く打ち込んだりするわけでも、恋愛にキュンキュン胸をときめかせるわけでもなく、日常を揺るがす大きな事件が巻き起こるわけでもない。
この物語は、『すこしふしぎ』なことが起こるだけ。それなのに、とっても特別なひと夏の世界が広がっているのです。
二十万字を超える長編ですが、謎が潜むストーリーが面白く、登場人物たちも誰もが魅力に溢れていて、そんなみんなの息遣いを感じる文章も読み心地がよくて、あぁこれが二十万字分も読めるのね、と数話読み進んだ後にしみじみ喜びを噛み締めました。
等身大の何気ないエピソードのひ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!はじまりは、「消えた友達」からの不思議な手紙だった
物語のはじまりは、誰かの悪戯かと疑われるような荒唐無稽な手紙。差出人は「世界から存在を消された」という友人。幼馴染の二人組は、本当は三人組だった?
高校生の日常にかすかな波風を起こす、小さな不思議。
ここからして、なんだか胸がときめきませんか?
どこかにいる(いた)はずの、自分のことを百パーセント理解してくれる自分だけの友達。それは実在する人々とは違った魅力を持っていて、時には隣にいる親友や家族よりも身近で頼もしいもの。
人見知りで友達を作るのが苦手な少年は、次第にその手紙の差出人の存在を信じ、自分にしか見えない消えた友人を感じられるようになっていきます。
そんな幼馴染の変化を心配しつつも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!俺たちは、本当は3人組だったんだ――
幼馴染の高校生2人組。彼らの元へ(実際は一人にだが)手紙が届く。その内容は「俺たちはもともとは3人でつるんでいたけど、事情があって、俺は存在自体を消されてしまった」というもの。
手紙を送ってきた「そいつ」は本当に存在したのか、それとも手紙自体誰かのいたずらなのか、というストーリー。
その「消えた3人目」が主題であり、設定はSF的なのですが、私としては、これは青春小説だと感じました。男子高校生の、友情の話。決して、難しい設定だの、科学的な話などは、出てきません。等身大の、どこにでもいるような、そして絶対どこかにいると思えるような、高校生たちの物語です。 - ★★★ Excellent!!!男子高校生たちの、すこしふしぎな夏。
初夏。男子校に通う幼馴染の二人の高校生のもとに、不思議な手紙が届く。
自分たちは、実は「三人」だった?
高校生たちの会話や日常は楽しいです。
小学校時代の昆虫標本作りや、校庭の遊具でのごっこ遊びの思い出は、似たような遊びを経験していませんが私まで懐かしい気持ちになります。
但し、長い物語です。読み始めた一夜目は、途中で寝落ちしました。
でも、最初の手紙の謎が気になって、途中から出てきた「あいつ」も気になって、翌日の夜に続きを開きました。
そうして読み終えてみれば、彼らと過ごした「すこしふしぎ」に満ちた夏は、とても素晴らしい二日間でした。
有難うございました。
晴れた日に飴が降ってもいい…続きを読む - ★★★ Excellent!!!隠れた青春SFの名作。泣けます。
作者様からレビューを頂いたことをきっかけに読み始めた作品ですが、20万文字一気読みでした。この作品に★もレビューもついてないとか納得できない。というわけで、宣伝がてらレビューさせて頂きます。
物語は幼馴染の少年二人宛に「世界から存在を消されたもう一人の友人」から手紙が届くところから始まります。消されてしまった友人は「最初から存在しなかった」ことになっており、少年二人には当然心当たりはありません。ここから手紙の差出人探しが始まり謎が解き明かされて行く、と言う流れが王道パターンですが、本作はそうしません。放っておきます。そのうち、片方の少年にだけ消えてしまった友人が見えるようになり……という筋…続きを読む