おいで、ロロ

作者 七町藍路

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★★★ Excellent!!!

友人の愛した海の傍で「いつか」を待ち続ける主人公。
ある夜に拾った卵からは、銀色のドラゴンが孵った。

読了後、読者の生活に影響を与える作品がありますが、本作では身近な誰かをもっと大切にしたくなります。何気ない生活を更に大事にしたくなります。……それとしばらくは人参を見ると込み上げるものがありそうです。
また、作中で語られている部分とそうでない部分のバランスが非常に好みでした。その引き際が、このなんともいえない余韻に繋がっているのだろうなと思います。

慈愛、友愛、親愛、敬愛――愛にあふれた、切なく愛しい物語です。

★★★ Excellent!!!

ロロ、とは、主人公がプレーするゲームの中で
少年がドラゴンを呼ぶときに発する言葉だった。
「おいで」という意味なのかドラゴンの名なのか、
そのゲームは多くを説明しないから、わからない。

主人公は海辺で銀色の卵を拾い、孵化を待った。
理由もなく、彼にはそれが卵であるとわかった。
数日して、卵から小さなドラゴンが生まれ出た。
ゲームの中のドラゴンとよく似た姿をしていた。

次第に語られていく、大切な友人を巡る思い出、
彼がこの海辺の町に住む理由、待ち続ける思い。
友人に何が起こったのか、それが彼の幸せなのか、
謎めいたエッセンスは最後まで説明されないが。

寂しさに胸を締め付けられるような読後感。
静かでふしぎで、美しい作品でした。