愛にあふれた切なく愛しい物語。

友人の愛した海の傍で「いつか」を待ち続ける主人公。
ある夜に拾った卵からは、銀色のドラゴンが孵った。

読了後、読者の生活に影響を与える作品がありますが、本作では身近な誰かをもっと大切にしたくなります。何気ない生活を更に大事にしたくなります。……それとしばらくは人参を見ると込み上げるものがありそうです。
また、作中で語られている部分とそうでない部分のバランスが非常に好みでした。その引き際が、このなんともいえない余韻に繋がっているのだろうなと思います。

慈愛、友愛、親愛、敬愛――愛にあふれた、切なく愛しい物語です。