鈴木が一人。鈴木が二人。鈴木が……

 あぁ……通りでこのジャンルに居る訳ですよ……。
 これは今夜の夢に出るに違いない。

 いつからか存在し始めた鈴木。
 今では当たり前の存在である鈴木。
 その鈴木に対する、世間の扱い。
 すらすらと語られる文章に、始めから不穏感はありました。それがじわじわと広がっていき、積み上げられていった先での『あの展開』ですよ。正直、ラストはちらりと予想していたところもありましたが、それでいてすら「おわぁー!鈴木ぃー!」と心を乱されました。
 冒頭でも書きましたが、読み終わってからジャンルを再確認して納得しました。
 だって「9人の鈴木を持っている」なんてキャッチコピーからしたらギャグかなって思うじゃないですか。裏切られた……良い方に……。

 自分は作者様の他の作品から飛んできた身なのですが、そちらの作品とはまた違った面白さに思わずこうしてレビューを残してしまいました。
 こうした、系統広く楽しい作品の書ける方を尊敬します。