第2話 颯爽登場!ヘルパーズ! part3
―上空―
「くっ・・・うおおおおお!」
宙を舞うライト。ヘルプフライヤーはきっちりとスカイブレイブと合流できるよう
計算して射出してくれたのですれ違って転落死、と言うことはないのだが、
それを教えられていないライトには神経が磨り減るような経験だ。
重力に逆らう運動エネルギ―に内臓を揺さぶられて気分が悪い。
必死で風圧に逆らって目を開け、
眼前に迫るスカイブレイブのコックピットハッチを開き、
ライトは何とか操縦席に収まる。
「はあ、はあ・・・死ぬかと思った・・・
って、そんなことより!大丈夫かブレイ!」
急いで近くで戦うブレイに通信を送る。
『ああ、まだ何とかな!だがこれ以上は厳しい!』
ブレイの声が返ってくる。ある程度ダメージを受けているがまだ無事のようだ。
「よく耐えてくれた!ランドブレイブももう来ている!合体だ!」
『了解!』
スカイブレイブのパネルを操作し、合体シークエンスを開始する。
「『ブレイブ・ライトアップ!』」
近くに待機していたランドブレイブが浮き上がり、ブレイ達の方へ飛んでくる。
ランドブレイブが首のない人の形に変形し、
そこにブレイとスカイブレイブが合体。頭部と胸のエンブレムがつき、
ブレイライトの姿が完成する。
「『現界、ブレイライト!』」
ゆっくりと敵の前に着地するブレイライト。
「『愛の光が暗闇照らし!
勇気の刃が悪を断つ!
幻界英雄ブレイライト!
正義を背負ってここに現界!!』」
大仰なポーズとともに名乗りを上げたあと、敵に語り掛ける。
「何故だ!?何故町を破壊する!?」
今までの敵は略奪など、何かの目的のためにサーキメイルを使っていた。
だがこの敵はただ無秩序に破壊を繰り返すだけ。
町が壊れれば悪の組織だって困るだろうに。
敵のサーキメイルは答えず無言で武装を構えなおす。
「そうか。なら止めるだけだ!行くぞ!」
サーキメイルの腕から爆発魔法が発射される。
「合体した後なら、こんなもの!」
ブレイライトは爆発魔法を腕で叩き落しながら突進する。
合体後の装甲の厚さとブレイ単体の時の6倍もの
機体重量の前では大した威力ではない。
「うおおおおおおおおお!」
あっという間にサーキメイルの眼前まで接近したブレイライト。
至近距離で攻撃しようとこちらに向けてきた
腕の魔導武器をこぶしで上に跳ね上げる。
爆発魔法は真上に射出され目標無く空中で破裂する。
「今だ!幻界剣!」
剣を抜き放ち上段から斬り下ろそうとする。
だがその瞬間、サーキメイルの胴体が展開し、
巨大な大砲があらわれる。
「何ッ!?」
発射された高出力の爆発魔法をまともに受けブレイライトは
後ろに吹き飛ばされた。
『ぐああああああああああ!』
「大丈夫か!?ブレイ!」
『・・・ああ、問題ない。・・・だが、これでは近づけない・・・!』
「くっ・・・どうすれば!」
その時背後から声がかかる。
『ヘーイ、俺のこと忘れてないかい?ブレイライト。』
「ヘルプフライヤー?」
ヘルプフライヤーが肩をすくめるようにして立っている。
「・・・そうか!以前父さんが話していた!」
『そのとーり!さあ、いこうぜ?』
ライトがヘルパーズについて父から聞いていた事。
彼らはブレイと同じ人工知能をもって共に戦ってくれる仲間であり、
同時にブレイライトの強化ユニットであると。
「よーし!」
ライトは操縦席のパネルを操作する。
「ルゥ!合体シークエンスのデータは!?」
「既にこちらで中継して転送中です。」
「気が利くね!助かる!」
サーキメイルが追い打ちで放ってきた爆発魔法を幻界剣で斬り払いながら
合体用のデータが届くまでの時間を稼ぐ。
やがてモニターに”HelperLightUp,ready?”という緑色の文字が表示される。
「データ転送完了です。ライトさん、いつでも行けます!」
「了解!」
それを確認したライトはすぐにパネルを操作し合体シークエンスを起動させた。
「ヘルパー・ライトアップ!」
『ハーイ!』
掛け声とともにヘルプフライヤーが飛び上がり、飛行機型に変形し、
そのまま急降下しブレイライトの背中に合体する
その後一部のパーツがブレイライトの手足に移り、
最後に大型のライフルがブレイライトに装備された。
「『『現界!ブレイライト・フライヤー!』』」
翼を手にしたブレイライトは飛翔する。
そこへサーキメイルが腕から爆発魔法を射出するがそれを素早い機動でかわし、
ライフルからエネルギー弾を発射して撃ちぬき、空中で処理した。
「さあ、今までのお返しだ!」
ブレイライトはサーキメイルの斜め上を旋回するように飛びながら
ライフルで攻撃を始めた。
サーキメイルも魔導武器で応戦しようとするが腕を向け終わる前に
ブレイライトはその場から移動しており、射線上にすら入らない。
やがてブレイライトの放ったエネルギー弾が
サーキメイルの腕の魔導兵器に命中し、
内部の回路を焦げ付かせ使用不能にした。
サーキメイルは性懲りもなく残った胴の大砲を
空中のブレイライトの方へ向けるが、
すぐさま発射口内にブレイライトが放ったエネルギー弾が侵入し、
自慢の大砲もあえなく機能停止する。
「すごいな、このライフル。」
『だろー?これからも俺を頼ってくれ!
あ、ダイバーとクライマーも忘れないでくれよ!
あいつらもなかなか・・・おっと、戦闘中だったな。でももう安心。
奴は丸裸同然だ。さあ、遠慮なくやっちまいな!』
「ああ!決めるぞ、ブレイ!フライヤー!」
「『『幻界剣!』』」
サイドアーマーから再び幻界剣が飛び出し、空中で回転する。
ライフルをそこにたたきつけるように振り下ろすと
銃身に幻界剣が合体し銃剣のようになる。
幻界剣の刀身が黄金に光り輝き、オーロラが伸びてサーキメイルを拘束した。
ブレイライトは空中で静止し、動けないサーキメイルに照準を合わせる。
肩から電極のようなパーツが伸び、ライフルの銃口にエネルギーを照射し始めた。
照射されたエネルギーは幻界剣の機能で制御され
銃口の先で球状に集まり、大きな光の球となる。
「『『極光!流星弾!』』」
ライフルの引き金が引かれると同時に発射された通常のエネルギー弾に
引っ張られるようにして大型のエネルギー球は
流星を思わせる光の尾を引きながらサーキメイルの方へ射出され、
その圧倒的な出力でサーキメイルのボディをバラバラに粉砕した。
オーロラの中で回路の爆発が起こる。
『決まったぜぇ!イヤッホオォゥ!』
「テンション高いなぁ・・・ははは・・・」
子供のようにはしゃぐヘルプフライヤーにライトは苦笑いする。
そこへ通信が送られてきた。
『こちらヘルプクライマー。ヘルプダイバーとともに街の爆発物の処理を
完了しました。そちらも戦闘、お疲れ様です。』
「ああ、ありがとう。こっちも何とかなったよ。」
『ヘルプフライヤーはちゃんとやったようだな。』
『あったりめぇだろ?俺を誰だと思ってる?』
『初めて実戦を経験するお調子者だ。』
『オーウ、そういやそうだな。』
「でも、頼りになったよ。」
『ふふん。もっと褒めてくれてもいいぜ?』
ライトに褒められ、得意げに言うヘルプフライヤー。
『調子のいいやつだ。誰にも見られず帰るまでが大変なんだぞ?』
ブレイライトのマスクの下で笑顔になって言うブレイ。
『なるほど。ま、荷物運びは任せてくれ。ランドブレイブとか。』
「頼りにしてるよ。ダイバーとクライマーもね。」
『オーケー。これからもよろしく頼むぜ、ライト。あとブレイ。』
「ああ。」
『格納庫もにぎやかになるな。』
新たな頼もしい仲間を迎えさらに強くなったブレイライト達。
この世に悪の影ある限り、彼らの光がそれを照らし続ける。
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