第8話 4つの宝を集める者
「カミノォ!? あなた、自分が何をしているか分かっているのぉ!?」
「あなたはアオイお姉さまを失わせた責任があるのよぉ!?」
カミノが中心と思われる、いろんなクラスの集まり。20人くらいいるのかな。すでに、キンやシルヴィー、アリシアやタマキだって、拘束されてしまった。
カミノは言っていた。
消えたH級になった人……アオイって人。その人のファンクラブがあって、アオイの名前を出せば動く人達がいる、って。それがこの人達か。
だけど、ひとつ分からない。
「カミノ。私を利用してたってことかな?」
カミノは言った。私と出合った時から、これを考えていたって。
「正確には、あなたが一眼麗蓋だと知ってから、です」
「なるほどね。私は何も知らなかったけど、口を滑らせたってやつか」
そんな話をしながら、カミノはキンのおっぱいを揉んだ。といっても、揉みしだくのではなく軽く触れただけだけど。次いでシルヴィーを、タマキを。カミノのおっぱい、もう私より大きいや。
「カミノ」
「はい」
「カミノの目的って、何?」
といっても、それはもう分かってる。分からないのは、そこじゃない。
アオイを崇める人達……アオイ信者を率いてるのがなんでカミノか、ってこと。カミノはAクラスだけど、他の人の中には、バスト力Eの人だっている。このおっぱいが絶対の制度である世界で、カミノがトップなのはおかしいから。
「許せなかったんです」
「ゆるせない?」
「アオイは……H級になりこの世界から消えたアオイは、私の姉なんです」
「え」
アオイって名前から、勝手に異世界から来たんだと思ってた。私やカミノみたいに、思わず名乗った苗字がこの世界の名前になっちゃう、ってパターンだね。青井って。
けど、名乗る名前なんて下の名前かもしれないし、全く違う名前を名乗っただけかもしれない。だから、苗字を名乗ったカミノと、その姉アオイの名前が違ったって関係ないか。
何にしても、アオイの妹だからカミノがトップにいたってことね。それに、いかにカミノがルームメイトといったって、アリシア達が隠すような4つの宝のこと。それをカミノに話すってのもおかしいと思ってたけど、どっちも合点がいったよ。
いや、でも……。
カミノがアオイの話をした時、“ルームメイト”とか、“彼女”とかとしか言ってなかった。自分の姉だったら、姉とかお姉さんとかと呼ぶはずだよね。
いや、そっか。許せないから……か。
「私はあの人が好きでした。でも、消えました。私はH級になることを応援しましたが、その結果がこれ。なんで、彼女は戻ってきてくれないんですか?」
怒ってる言い方なのに、なんで眼に涙を浮かべてるなろうね。
そっか。やっぱりカミノの目的は……。カミノ、好きなんだけどなー。アオイの所に行っちゃうってことはもう……。
「あ」
気付けば揉まれてたよカミノに。カミノのおっぱい、小さくなっちゃった。私の方が小さかったからね。
「あとは、アリシア様だけですね」
「カミノさん、あなたがお姉さんを想う気持ちは分かりますが……」
「アリシア様、あなただってアオイ派だったはず。なら、私の気持ち、分かってください」
そうしてカミノのおっぱいは……アリシアのものより大きくなっていた。さらにアリシアのおっぱいも、元々アリシアが持っていた、Bカップまで落ちてる。
「……私が4つの宝を得た証拠ですね。4つの宝が開放された……皆さん宝が使えなくなり、四璃魂で大きくなっていたアリシア様のおっぱいが小さくなりました。
ナナセさんも、私のおっぱいのサイズ……見えないんじゃないですか?」
「残念ながら」
カミノのおっぱいが大きくなった。それを確認すると、私達の拘束は解かれる。宝が無くなって用済みってか。
「皆さん、お約束どおり、私は今H級となりました。皆さんで、彼女の元に行きましょう!」
カミノがアオイ信者達に向かって言うと、黄色すぎて金色に輝きそうな声援がやってきた。
カミノ……やっぱり、アオイに対して怒ってる、の裏返しが本心ってわけだね。
さっき掲示されていた、私やアリシア達をここに誘いだすためのもの。これ、本当なら私がやろうと思ってたことだった。昨夜カミノと話した、H級になるためにどうすべきか、の結論だったんだから。
二人薔檻をどう見つけるか……それを考えて、『二人薔檻が得をする状況を作ればいい』ってことになった。そこで、あえて他の3つの宝を持つ人を集めるという状況を作り、二人薔檻が動くのを待つってこと。そのための掲示だね。
けど、まさか私がそれをやる前にやられるなんて。
カミノはこのことを知っていたんだから、先に使って利用したってことだよね。先回りして使われると、私は準備出来ないから。
カミノは前に言ってた……アオイを失わせたのはカミノのせいだ、と言い張るシルヴィー達から、4つの宝を集めることに協力しろと言われていることを。その中で、私が一眼麗蓋であることを話してしまっていたとしても、私はカミノを責めるつもりはない。さらに、今朝にでも二人薔檻をおびき出す計画をシルヴィー達に話していたんだね。
シルヴィー達にもメリットがあるから、即実行した。結果的にカミノに揉まれる側になるとは思ってなかっただろうけどね……。
「それじゃ、H級になったことで叶うもの……早速願いますね。
ナナセさん、短い間でしたけど、本当にありがとうございました。こんなお別れになって、本当にすいません……。最後はこんなことになりましたが、私はあなたのこと、好きでしたよ」
「私もだよ、カミノ。だから、これが終わったら付き合おう」
何言ってんの私。
カミノも、何言ってんだこいつ的な顔をしたけど、涙を浮かべて笑ってくれたよ。本当に、本当にかわいいなこいつめ。やっぱり、カミノに悪役は似合わない。それだけ、アオイに対する気持ちが本当だったってことだと思うけどね。
……分かってたんだよ、カミノ。
「では、行きます。
アオイ姉さんの元へ、皆さんと共に!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます