第4話 おっぱいに囲まれて

 やってきました、私の2回目の乙奪おつだつ


「本日のエントリー、Aクラスではナナセさんとスバルさんのみだそうですよ」

「皆チキンすぎるぜ!」


 カミノ、スバルと共に体育館に入ると、今日はどうも観客席に人が多い。おっぱい小さい人口が増えてるから。代わりに、会場側にはちっぱいが少ないな。


「まー、今日のゲーム“ピンポンダッシュ改”て、私がこの前使った寝っ転がり戦法も使えないしねー」


 ゲームの内容は、すでに先週の乙奪の後に説明されていた。それは、どう考えてもG級から私への挑戦状。見てろG級バカデカおっぱい達!


「っと」


 体育館の壁にもたれかかってたのに、歩いてくる人にぶつかられた。わざとだ絶対。だって、


「あらぁ? ごめんなさい小さくて見えなかったわぁ……お・っ・ぱ・い・が♪」


ぶつかったのは今日の対戦相手、キャバ嬢風のシルヴィーだから。今日も盛り盛りの髪は手がかかってそうだ。


「今のはどう見てもわざとなんだぜ!?」

「まあまあ、スバル落ち着いて」


 やっすい挑発に乗っても仕方ないし、ここはさっと切り上げとこう。

 カミノなんて、シルヴィーの姿が見えた瞬間10mの距離を取ってたよ。そのスキル私にもくれ。


「ったく……少しくらい言い返してもいいんだぜ?」


 カミノに合流すると、スバルがまだ未練を漏らし続けた。


「この学園、おっぱいで権力が決まるけど、普通はそれを利用しないんだ。プライドってやつだぜ。あと、さらに上のクラスから目を付けられるからってのもあるんだぜ。けど、あのシルヴィーだけは違う……本当ムカつくんだぜ!」


 スバルの話で、これまでのシルヴィーとの因縁が分かった。シルヴィーはDクラストップ。これは、Cクラス以下を好きに扱える立場ってこと。それを良いことに、Cクラス以下の子をパシったり、バカにしたりするためにわざわざ来るんだそうな。


「特にカミノに対しての当たりがなー……。昔はそんなことなかったんだぜ……仕方ないといえばないんだけど……」


 成程、シルヴィーが近くにいるとき、カミノの様子がおかしいのはそれか。でも、ゲーム中の実況はシルヴィーに対してもガッツリやってたし……本当にマイクで変わるんだな。


「お」

「あらぁ?」


 ってまたシルヴィー。再びの体当たりは、かわしてやりました。


「また何の用なんだぜ!?」

「いえねぇ、ナナセさんとスバルさん……なんで乙奪に参加するのかと思ってねぇ?

 今日のゲームは先週のようにいかなわよぉ? ピンポン玉を胸で運ぶのは変わらないけどぉ、“立った状態でゲームする”と釘を撃たれてるものねぇ」


 そう、今日のゲームは先週と同じながらそれが追加されてしまった。加えて、態勢を反らせることも禁止。Aクラスの人がほぼ誰も参加していないのはこれが原因なんだよね。


「でもまぁ? あのアリシア様を揉んで、かつ私にも先週勝った……それに、こんなあなたに対して挑戦するかのようなゲームが出たということは、タマキ様にも認められているようねぇ……。

 ナナセさん、そんなあなたなら、楽勝かしらぁ?」


 シルヴィーは、おーっほっほ的な笑いをしながら去っていった。本当にそんな笑い方する人いるんだ。


「な、ナナセさん、気にしないでください。ナナセさんがG級に注目されているから、嫉妬してるんですよ」

「ありがとカミノ。気にしてないから大丈夫」


 けど、さすにがちょっとイラっともしたから、その嫉妬を5倍増しにしてあげないとね。


「そういやあいつ、上のクラスから悪い意味で注目されてるんだぜ。EとかFとかのクラスのやつにな。態度悪すぎるから、いつかしめてやろうって感じだぜ。だけど……」

「シルヴィーさんのお姉さん……」


 詳しいなスバル。私、自分より上のクラスが何考えてるかの前に、そもそも誰がどれだけいるかも知らないや。

 っていうか、姉がいるのかあのキャバ嬢。年が違うのに同学年みたいな扱い、本当にどうなってるんだろうね、この世界は。ま、今それはいいんだけど。


 カミノとスバルの様子でなんとなく察した。たぶん、そのシルヴィーのお姉さんとやらは……。


「G級の残り2人のどっちかなのかな?」

「ナナセさん、よく分かりましたね!」


 やっぱりか。それがあるから、好き放題やってるシルヴィーに誰も手が出せないわけね。

 でも、それを聞いたら余計に負けられない。


 4つの宝……G級が持ってる可能性が一番高いんだから。



――乙奪! 始まりますよー!

今日注目すべきは、そう! あっという間にAクラス2位になった、ナナセ選手! 前回の乙奪では、Dクラストップのシルヴィー選手を倒すという大金星!

そして奇しくも! 今日の対戦カードもナナセ選手vsシルヴィー選手! 果たしてどのような揉み合いが繰り広げられるのでしょうかーー!

制限時間は10分! れでぃーーーっごーーー!


 相変わらずだね、カミノの実況。

 逆に、シルヴィーは大人しくなったな。たぶん、集中してるんだろうね。スバルが言ってた、今日私に負けて揉まれるようなことがあれば、シルヴィーはDクラストップから陥落するって。


 でも、そうやって集中してやる気を高めるのはいいけど……この世界の人達、平たく見ると良い子すぎるんだよね。異世界から来た人もいるみたいだけど、毒されてる。


「よそ見してる暇あるのかしらぁ?」


――シルヴィー選手―! すでにいくつものピンポン玉をその乳袋につめているー! その数は分かりませんが、最初にあった玉の数と今の玉の数を見るに、すでに前回乙奪よりも多くの玉を入れているのではないでしょうか!


――さあ一方のナナセ選手! 今回のピンポンダッシュ改では、先日のように寝転がって玉を積み、這ってゴールすることは許されていません!

 そんな状態で、そのむしろへこんでいるのではないかというおっぱいで、いったいどれ程の玉を……っと!? またナナセ選手いなーい!


「は!? いないってどういうことぉ!? また寝転がって……もいないしぃ、それはルール違反……!」


 さっき私に、よそ見してる暇はあるのかと言ったシルヴィー。今はシルヴィーの方が、よっぽどよそ見してる。もっとも、無駄にでかいおっぱいに無駄に溜めたピンポン玉のせいで、素早く周りを見渡すのは無理っぽいけど。あれ、あのまま5m進んでゴールするなんて不可能じゃない?


 まあ、それが可能であっても関係ないけど。


――な……!

 な、な、ナナセ選手!? あなたはいったい何をやってるんだーー!?


「いや見たら分かるでしょ、カミノ」


――ナナセ選手! 揉み合い中にシルヴィー選手のおっぱいを直接揉んだーーー!?


「ちょ、ちょっとぉナナセぇ……あなたそんなことをしてぇ……!」

「ルール違反だって言いたい? そんなルールないけど」


 シルヴィーが私を手で振り払うと、溜めに溜めた玉がおっぱいからポンポン出てきた。何その量、気持ち悪い。


 この乙奪。いや、この世界。

 目指すべきものは何か? 巨乳だ。

 じゃあそれになるためにどうすればいいか? でかパイを揉む。


 乙奪の揉み合いで、勝利したら得られるのは対戦相手を揉む権利。けど、わざわざそんな権利を貰わなくたって、いつだって揉めるんだよね、この乙奪中って。だって、揉み合いに集中して周りが疎かになってるから簡単に近付けるんだもん。現に今のシルヴィーだって、玉を詰め過ぎて身動きが遅くなり、私に簡単に背後を取られた上揉ませてくれた。


 皆、良い子にゲームし過ぎなんだって。


――これは、ルール違反かどうかー!? 私だけの判断は出来ませんので、しばしお待ちを!


「あ、あなたぁ……乙奪を舐めてるのぉ!?」

「舐めてない、真剣だよ。だから、この行動に出た。さっきも言ったとおり、『揉み合い中に相手のおっぱいを揉んではいけない』なんてルールはないよね。乙奪時は、エントリーして対戦カードが組まれた者同士しかおっぱい揉んだときの効果はないけど、私とシルヴィーはそれに当てはまるからね」


 だから、私のおっぱいはまた大きくなって、シルヴィーのおっぱいは小さくなった。Dクラストップ陥落おめでとう。だけど、ぶんぶん暴れながら近づいてくるシルヴィーのおっぱい、未だ揺れる揺れる。くっそ。


「ルール違反だとかどうでもいいのよぉ!? 乙奪は相手に勝って初めて……!」


 たぶん、このままルール違反じゃないってことを言っても、シルヴィーは理解しようとしないだろうね。だったら……。


「えい」

「え?」


 シルヴィー用のピンポン玉が入った箱、取り上げちゃった。周りに散らばってた玉も、もう私が脚でどっかに飛ばしておいたしね。シルヴィーもさっきからバタバタして、自分でも足元の玉を蹴ってたし。


「私、貧乳だけど辛うじて玉は2つ運んだよ。シルヴィーは、あれだけ暴れたらおっぱいに玉、残ってないでしょ。それに、もう詰める玉もないし、床に散らばった玉を集めようにも……」


――こ、ここで! 制限時間を過ぎたため、揉み合いは終了となります!


「はい、タイムアップ。これで私の勝ち。さっき揉んだから、もう揉まないよ」

「な、な、な……!」


 な、って1回言うごとに後ずさりしてる。いつかその一歩一歩で揺れるおっぱい、全部奪ってやるから。


「認めないわぁ!」


 けど、離れた距離を一気にシルヴィーが詰めてきた。すごい形相。崩れかけの化粧みたいな顔。


――今の勝負!


「!」

「あれ」


 実況スピーカーから聞こえる声、エンジェルボイスじゃない。低いキリっとボイスは、あの化け物の……。


「た、タマキぃ!?」


 そう、それ。


――確かに私は、この揉み合いのルールの中で、相手を揉んではいけないというものは設定しなかった。それを守るのは、あくまで倫理的なもののみ。さらに、その後ナナセは玉を持ってゴールしたにも関わらず、シルヴィーはゴールすら出来ていない。

 よって……今の揉み合い、文句なしでナナセの勝利とする!


「お、あざっす」

「た、タマキぃ……!」

 

 シルヴィーはさっきと同じこと言ってるけど、憎悪っぽいのが込められてるな、今度は。


「ナナセさーーん!」

「またやってくれたんだぜ!」


 うわ、また忘れてたこの恒例行事。

 カミノとスバルを筆頭に、私のちょっとはあるようになったおっぱい、皆が揉みに来た。おっぱい、他人に揉まれると大きくなるって迷信めいたものがあるけど、真実ならもう私は巨乳になりそうだよ。

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