第2話 おっぱい争奪戦
「
「おつだつ」
ふつーに数学現文地理音楽。そいつらをこなして待ってましたお昼休み。おっぱいの世界なのに、学ぶことは私が元いた学校と変わらないなんて、益々どうなってんの。
そんな次の日、カミノが大きな声で宣言するもんだから、思わず繰り返しちゃったじゃん。
「“おっぱい争奪戦”略して乙奪だっけ? もう、おっ杯、とかでよくない?」
「普通におっぱいと言うのと区別つかないですからね」
そうだった。日常的にやたらおっぱいが飛び交うんだった。
「今日の授業は午前で終わりです。午後は、乙奪! 場所は体育館です。乙奪がある時は全てのクラスが入ることができます。ちなみに、ナナセさんはエントリーしていないので、今日は見学しましょうね」
おっぱい争奪戦、乙奪。体育館までの移動中、その内容をカミノから聞いた。
どうもこの世界、おっぱいの揉み合いが常時起こってるのかといえば、そうじゃないみたい。基本は起こらず、突然そんなことをしたらちょっと変な目で見られるようで。おっぱいおっぱい言ってくるくせに何言ってるのって感じなんだけど。
じゃあどこでおっぱいを大きくするのかと言えば、その乙奪なんだそうだ。週1回開催で、その日は授業は午前だけ。
「とりあえず、Aクラスの揉み合いを見ましょう。
毎回、AクラスはDクラスと、DはE、CはFという組み合わせになります。揉み合いに勝った方が、対戦相手のおっぱいを揉むことができます。必ずしも揉まなくていいんですけどね」
「揉み合いて……」
おっぱいは自分より大きい相手を揉まないと意味ないから、これ、ちっぱい組のためのやつってこったね。でっぱい組的には、その権力的なものを誇示するためかね。でっぱいはちっぱい触っても小さくなるだけだから、必ずしも揉まなくていいと。
「事前準備や司会進行は小さい方がやります。ちなみに私、いつもは実況してるんですけど、今日はナナセさんへの説明ってことで免除です!」
運営はこっち……ね。
「あ、見て下さい! Aクラスのスバルさんが出てます。ちょうど揉み合いが始まりますよ!」
カミノが指差した先に、A72のスバル。ショートカットでボーイッシュで、ありゃ迂闊に女子トイレに入ったらびっくりされそうだ。この世界女しかいないからいいけど。
っていうか、何やってんのあれ。
両腕で全くないおっぱいをぎゅーっとして、その間にピンポン玉置いてる。でも挟む所がないから、あれはもう腕で抑えてるだけだわ。
相手さんのDクラスは……うわバスト力<力>D95……豊満なお山の間に出来た谷、ピンポン玉を詰めてらっしゃる。幸せなピンポン玉だね。
「あれは、“ピンポンダッシュ”です。たくさんの玉をおっぱいに挟んで、5m先のゴールまで運びます。そこまで運んだ玉の多い方が勝利なんです。ちなみに……見てのとおりAやBクラスでは……」
皆まで言うな。
「ち、ちなみに! 今のおっきい方達も、この不利な揉み合いを勝利して、上がっていってるんです!」
察したようだ。
にしても……。
やりようはあるってことか……おっぱい使えないから、頭使えってか。でも確かに、この対戦……いや、揉み合いなら……。
◆
「結局、スバルさん0個の大敗でしたね」
「始まった段階で見えてたさ」
対して、相手のDクラスの人は、10個くらい運んでいた。どうも、ありゃたぶん手を抜いているね。スバルの様子を見て手加減したっぽいわ。
「くっそまた負けたぜこのやろー! シルヴィーだけには負けたくなかったのに!」
そんなスバル、ピンポン入った箱をひっくり返してボールプールしてる。毎回の恒例のようで、周りの大きいっぱいも小さいっぱいも、またーとか、飽きないねーとか言ってる。
「シルヴィー様ー!」
スバルの対戦相手、シルヴィーっていうらしい。改めてみたら、キャバ嬢みたいに髪盛りまくってるや。
「さすが、Dクラスのトップ、シルヴィーさんですね……。AからDクラスまで、皆おっぱい揉みに行きました……」
あのアゲアゲ盛りまくり嬢、Dクラストップなんだ。そりゃでかいわけだね。それでも、まだ上がいるってのがもう未知の領域なんだけど。そのDトップ、黄色歓声で囲まれていた。
にしてもカミノ、なんだか元気がないような……?
「ってあれええ!? おっぱい揉んでるじゃんナニコレ! おっぱい揉み揉みアゲアゲサービスタイム!?」
「ちょ、ちょっと何を言っているか分かりませんが、これは挨拶です」
カミノ、何言ってるの? おっぱい揉むのは、自分のおっぱいを大きくするためのものって……。
「ちなみに乙奪では、エントリーした対戦相手同士でないと、揉んでもおっぱいは増減しないんです」
って、そういうことか……。いや、納得してどうするんだって話だけど……もうこのおっぱい世界のことにいちいちツッコミ入れるのやめよ。
とにかく、平常時おっぱい揉みは、おっぱいの増減に関係する。でも、普段の揉みは一般的には行われない。プライドみたいなもんだよね、きっと。
じゃあどこでおっぱい大きくするかっていうと、おっぱい争奪戦、乙奪で勝つことで行う。この時は、エントリーした相手同士じゃないと何の意味もなく、それ以外は挨拶に過ぎないってことね。
「ナナセさん、何で自分のおっぱい揉んでるんですか?」
あ、やば、考える方に集中してたら、おっぱいへの欲求がモロ行動に出てたわ。揉む程ないけど。
「あ! 出やがったぜモンスターおっぱい!」
「ん?」
スバルが、いつの間にかボールプールから出て舞台を指差してる。
「……タマキ……!」
なるほど、確かに怪物くんだわ。あのバスト
あれほどイケメンだからなのか、さっきのDクラストップの人よりも、遥かに色取り取りのおっぱいが回りを囲んでるわ。
「ナナセさん、あれ、来週の乙奪の勝負内容を話すんです。ちなみに、あのタマキさんや、ナナセさんが揉んだアリシアさん、G級と呼ばれています。他に2人いるので、全部で4人ですね」
G級て。要はGカップってことね。
でも、来週の勝負内容か……聞き逃せない。
「来週の乙奪は、“ピンポンダッシュ”。説明はいらないな」
って、あれ?
「これ、今日と同じじゃない?」
「はい、そうです。基本的に、1ヶ月同じゲームが続く。そこで小さい方が1度も勝てなければ、翌月のゲームは小さい方に少しだけ有利なものになります。もし誰かが勝てば、その日でそのゲームは終わり。次の週からは小さい方に少しだけ不利なものになります」
ああ、そういうこと。
「うおおおおお次は絶対勝つんだぜーー!」
叫ぶスバル。また同じやり方ならダメって分かってると思うけど、どうするんだろ。
「カミノ。私、次の乙奪出るから!」
「はい、頑張ってくださいね!」
私は、絶対勝つ。
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