ただの恐怖体験に終わらぬ一流の技術をご覧あれ。

タイトルにもある「悪夢」、この悪夢というのは、留守番中に強盗に襲われた女子小学生の体験談を指している。

突然現れた見知らぬ男に理不尽な暴力を振るわれ、ペットを殺され、日常が崩壊していく恐怖と絶望を、女子小学生の視点からじっくり味あわされ、もうこの時点で充分酷いのだが、本作の凄さはその先にある。

こういう場所でプロ作家の作品を選ぶのもどうかと思われるのだが、本作はただ「面白い」だけの作品ではない。
さりげない伏線の張り方や、なんとも言えない後味を残すラスト一行など、話の見せ方が非常に巧みで、技術的に「上手い」作品なのだ。

たとえアマチュアの作品であっても、プロ以上に面白いアイデアが盛り込まれているという作品は決して珍しくない昨今だが、こうした小説の書き方、魅せ方の上手さという点ではやはりプロに軍配が上がる。

小説を読むのが好きという方はもちろん、小説を書く人にとっても非常に参考になるという意味で、カクヨムユーザーの方々には是非読んでほしい一作だ。

短編なので一度読み終わったら、改めて頭から読み直すとより楽しめるだろう。

(必読!カクヨムで見つけたおすすめ5作品/文=柿崎 憲)

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