私は日本を祖国とし、この地で育まれ、そして日本語を母国語としています。ではいったいどれだけ色を日本語で説明できるのか、自問自答してみます。赤、青、緑に黒、白などの原色以外の中間色は果たしてどうなのか、首を捻ってしまいます。和紙を染めるのに、顔彩を使います。顔彩には様々な色に、日本語が付けられていますが、説明は困難を極めます。
今作は、世界中の観光名所を中心に「文章で情景を綴る」という試みの元、とても素敵なエッセイに仕上がっております。
そこに、「日本語で色合いを表現」しているのです。
文章を口ずさみながら目を閉じれば、鮮やかな色彩とともに情景が浮かんできます。
これは無論、作者の高度な文筆力のなせる技でしょう。そして日本語を心から愛しているからこそ、読み手に感動を与える言葉が紡げるのでしょう。
素晴らしいエッセイ集です。
ぜひ多くのかたにご覧いただきたい珠玉の作品集です。