Scene35 星雲への入り口はミルキーホワイトの水面
メキシコ・セノーテ・イキル
鬱蒼と茂る森
上部から蔓性の植物が垂れ下がる
それら植物のスクリーンの下に広がる世界
無限とも思える空間
ぽっかりと口を開けた地界への入口
漆黒の闇
翡翠や水晶色の
白濁した
まるで図鑑で眺めた星雲だ
遥か遠く
人類が到達しえない
そこは星の住処
宇宙空間にも思えそうな
地界のキャンバスに
広がる水紋
そう、そこは水の世界
幾十にも広がり重なり
光の陰影が水面の濃淡となり
潜っていけば
セノーテとはメキシコ語で「聖なる泉」
地下水の泉
そんな泉は4,000~5,000にのぼる
今度は地底から
空から差し込む日差しは
洞窟にあたり規則的に屈折する
その光の線は面となり
アクアブルーのガラス面となる
日のあたる地底の岩はエメラルドグリーンに染まり
ミッドナイトブラックの日陰は闇に溶ける
頭上を見上げると
揺れる水面はやはりどこか宇宙の渦に見える
波もなく淡水のセノーテでは
シュノーケリングが楽しめるらしい
それは水中のダイビングなのか
宇宙のフライングなのか
そんな空間に身を任せたなら
どんな感覚に包まれるのだろう
どんな想いがよぎるのだろう
かけ離れた地中と宇宙は
意外と近い感覚を与えてくれるのかもしれない
【描写した場所】
メキシコ・ユカタン半島・セノーテイキル
※参考文献
365日 世界一周 絶景の旅 いろは出版
The world of million colors 桜井今日子 @lilas-snow
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