アナログがアンティークになった時代。少女のもとに一通の手紙が届く。
【あらすじ】
ある朝、高校二年生の空野言葉(そらのことは)のもとに一通の手紙が届く。
滅多に見ることのなくなった紙の手紙に驚く言葉だったが、その手紙には変わった模様が一つ描かれているだけだった。
その手紙を持って言葉は学校へ行くが、親友の神代絵美(かみしろえみ)に手紙を見せてみると、模様は手紙から消えていた。
残された白紙に二人は頭を悩ませるが結局何もわからず、帰宅しようとしたところに従兄弟の字医文章(あざいふみあき)から何か異変はないかと連絡が来る。
言葉が変な手紙のことと学校で起きた些細な異変について話すと、祖父の屋敷へ来るように文章に言われ、祖父の字医書道(あざいかきみち)の屋敷へと向かう。
そこで二人は、手紙の模様がプリントと呼ばれる二次元生命体であることを知らされる。
しかも手紙にいたプリントは、クーロンといういたずら好きのプリントで、放っておくと大変なことになると言われ、二人は文章とともにクーロンを探すことにする。
手紙の痕跡を手がかりに図書館へとやって来た言葉達は、そこで突然のサーバーダウンに遭うが、三人はサーバーダウンとその直前に起きた出来事がクーロンの仕業だと推測し、そこからある商店街の存在を導き出す。
アナ商(あなあき)と呼ばれる、今では珍しいHAR(超拡張現実技術)の使われていないアナログだらけの商店街に来た三人は、クーロンの反応を手がかりに商店街を探し回る。
その最中、大企業の会長と商店街の店主達がHARの導入を巡ってもめている場面に遭遇し、言葉は突如現れたスイーツ仮面と名乗る怪しい男によって、商店街のHAR導入をかけた三本勝負の立会人になる。
勝負は、新しいHARを使って商店街の商品をコピーし、オリジナルとコピーを見分けるというもので、言葉の活躍で商店街側はなんとか勝利する。
そして、勝負の過程でクーロンを見つけた言葉は、プリントという紙に住む奇妙な存在と生活を共にすることとなる。
この作品は著者( siou )の個人サイト『てくてく( http://tex2light.textnetyard.com/ )』にて公開している作品の転載です。サイトではEPUB版も公開しています。