交わることのない者達の物語

食人族という決して人間と相容れることのできない存在。そんな彼らを閉じ込めた世界。
独創的な世界観や設定、造語が相変わらずの持ち味だなぁと思いました。

闇の世界で生き、それぞれの想いを抱える者達。
世界の創造主たる青年の行為。食人族でありながらどこか陽気で憎めないドリーク。
この二人が象徴的に感じ、誰か一人が悪いわけではないという事実が、ストーリーに深みを与えていました。
悲劇とも喜劇ともとれない内容であり、読んだ人によって様々な感情が沸き立つ作品だろうと思いました。

自分は『異なる存在が同じ世界で生きるために、どうすべきか』というテーマの作品だと感じました。
ただそのための『異質』を『食人』に据える必要があったのか、という部分で、もっと作品と深くリンクして欲しかった気もします。

とは言え中篇で綺麗にまとまっており、未来を感じさせるラストで良かったです。安定して楽しめました。

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