歴史オタ×鉄道オタの夫婦が送る呉越同舟(?)の国内旅行日誌。

 一般に旅行の醍醐味は数あれど、オタクの視点で見る観光地はことさらに面白く感じます。
 特に奥さんが歴史好き、旦那さんが鉄道、それも寝台特急など限定発着便が大好きとなると旅の模様はどうなるのか?
 読者側からすれば、お互いに見るべきものが違うことからくる、セレンディピティを満喫できます。
 ところが当事者、特に旦那さんの言動に振り回される奥さんの気苦労たるや。
 倍率が高すぎるチケットを買いに行かされたり、運転席の真後ろに密接している旦那さんたちを白い目で見たり、自作すれば低コストで済むであろうお土産で散財して、その総額にげんなりさせられたり。
 『興味のベクトルが違うと互いに無関心』と言われる各ジャンルのオタクですが、ここまで相手の趣味に無関心になれるものか? という夫婦エッセイのテイストも豊富。

 特に近藤勇局長の聖地『流山おおたかの森』を失念してほぞを噛み、魂の慟哭をあげる作者さん――――心中お察します(合掌)。

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