大切なのは才能よりも諦めない心

少年漫画を思わせる熱い展開に、ミステリーの要素も満載。
何よりキャラクターが生き生きと描かれている!

舞台は現代をベースとした、名探偵が名誉職という世界。名探偵には使い魔が付くというファンタジックな設定もありますが、上手く混ざり合っていて違和感がありません。
そう思わせる要因は、本作の持ち味であるコミカルさでしょう。
主人公の修也を始め、ヒロインの千鶴、お目付け役のエル、その他のキャラクター全てが個性的で、彼らの小気味よい掛け合いは読んでいて楽しいです。

本作の魅力はそれだけではありません。
主人公の修也は名探偵の息子、なのに才能を開花させられず、理想と現実の差に悩みながら、時には卑屈になってしまいます。
ともすれば、とっくに心が折れていてもおかしくないのに、彼は名探偵になることを絶対に諦めないのです。
大人になると諦めることが当たり前になってしまうものですが、本作は諦めない心の強さを教えてくれます。
プロの作家になりたいけど、なかなか自分の作品にスポットライトが当たらない、もしかしたら自分には才能が無いんじゃないか……そんな悩みを抱える書き手さんにオススメの一作です。

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