この二人のコンビが小気味よく、かっこいい!

 古導具店「アンダンテ」の店主イルマと従業員の少女ユラハ。
 日々店内で皮肉の応酬を行う二人の元に、様々なお客さんがやってきます。けれどどのお客さんも何か一筋縄ではいかないトラブルを抱えており、二人は巻き込まれる形で、「導術」という魔法とも科学技術ともつかない術の「導具」にまつわる様々な事件に挑んでいきます。
 現代に似て非なる技術が発展した世界や「導術」について細部まで作り上げられていて、読み進めるごとに物語にのめり込んでいけるので面白いです。個人的には「導術」の用語集があったらぜひ読んでみたい、とも思います。発動する場面の描写が緻密で見事です。

 とにかくイルマとユラハ、二人のコンビが小気味よく、かっこいいです。普段は嫌味や皮肉ばかり言っていても、いざというときには見事な連携を見せ、時にはお互いの存在に思いを馳せ、思いやる言動を見せてくれます。今の境遇に至るまでに二人にはそれぞれ何かあったようで、その過去も気になるところ。
 ユラハは外見に反して戦闘となるとプロフェッショナル。戦闘シーンがとても勇ましいです。イルマも危険な場面で取り乱すこともなく、ただの古導具店主(導具マニア?)ではない様子。そんな二人が事件に挑む姿に、ハラハラ、わくわくさせられます。
 今後の物語で明らかになっていくこともあるのでしょうか。とても楽しみにしています。