ストロベリーの酸っぱさとふうちゃんの甘い喋りが沁みる話

冒頭の嵐の描写読んで文章力あるなって思いました。声が脳内再生されるようなふうちゃんの甘い喋りがとっても可愛くて好きです。そんな風にクラスの子は騙せていたのでしょうね。主人公が騙されなかったのは、自分自身も家庭環境に問題があったからかな。木と風って似てる、この言葉、ぼんやり示唆されるふうちゃんの家庭環境と合わせるととてもヘビーです……。すれ違ったままで終わっちゃいそうなお話で、最後彼だけが剥き身のまま彼女とぶつかって、楓ちゃんの本当の友達になれたのはそれでも救いだったんでしょうね。こうして読み終わった後も苦くてすっぱい後味ですが……。42円のキャンディーをプレゼントするってのが皮肉でセンスあるなって思いました。

【追記】気になって楓ちゃんが持ってた小説、デミアンを読んでみました。なるほど、楓ちゃんにとって多分主人公がデミアンで救世主だったんですね。愛読してたであろう小説デミアンと違って、彼女は友の面影を思い浮かべて困難に立ち向かい、生き続けて行く事はできなかったけれども……。(友の面影を胸に生きるポジションは主人公とも取れるかも?)

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