嫉妬を覚えるほどに格好いい戦闘描写

戦闘の描写はさほど難しくはない。
だけど、そこに匂いや空気、所謂臨場感と言うモノを生み出そうとすると、ちぐはぐ感が生まれたり、あるいはスピード感のようなものはとかく失われやすい。
また、格好付けた描写は作者の悦と捉えられかねないし、時として食傷気味にさえなってしまう。

柾木先生の作品はそこら辺のさじ加減がすごく絶妙。
暑苦しいほどに暑苦しい描写でありながら、だけど戦闘の臨場感が緊張感として心を冷やしてくれる。
肉感的描写はCG全盛の現代映画ではなく、古い(良い意味で)映画、『ベン・ハー』や『七人の侍』のような、そんな泥臭さや血生臭ささが伝わる描写である。

ゆえに、好きと嫌いはハッキリとわかれるかもしれない。
だけど、熱い戦闘シーンが好き、武器と武器が擦れ合い人間ドラマがぶつかる世界を見たい、そう思うなら迷わずこの作品と長編を読んでいただきたい。

後悔はしないはずだ。

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