舞台は禁煙法の施行により、喫煙が犯罪となった日本。
これだけでもかなりぶっとんだ設定なのですが、それに加えて主人公たちの溢れるほどの煙草への情熱、キャラ立ちしまくった敵方の人間たち、などの要素により、読者を一瞬も飽きさせずぐいぐいと読ませます。
自分は嫌煙家なのですが、気づいたら主人公の気持ちに共感していました。
個性の強いルビの振り方も、内容にマッチしていて良いですね!
首相の暗殺という目的を果たすため、刺客がうようよする官邸に乗り込む主人公たちの結末やいかに?
ぜひ読んで確かめてみて下さい。
最後まで読めば、人生の滋味(のようなもの)を味わえることでしょう。
政治に熱い憤りと情熱を燃やした時代が日本にもあった。
私の父親や祖父の時代だ。
暴動、大学閉鎖……抑圧と解放と、行き場を失ったエネルギーが暴力となったが、生きるために、守るために必死だったのだろう……
その時代を知らない私には、そのような映像を見ても、自分の中のどこかがシラケていて無駄なことをやっている……そんな風に思っている自分が居る。
だから、忘れているのだ。
本当は何が大切なのかを……
本当は、守るために何をしなければいけないのかを……
なあ、これを読んでくれよ!
俺が勝手に個人的に適当にKingと崇拝する男『神山イナ』が魂を燃やして書き殴ったこの作品をな!
そして、この作品を読んだなら……
選挙権を持つ者は、どうか次の選挙には必ず参加して欲しい……
どこの政党にいれるかは俺の知ったこっちゃねぇ。ただ、自分でしっかりと考え、見極め……
『ここだ!』と思う政党に投票するんだ!
だって、それが自分の大切なモノを守るってことなんだ……
耳障りの言い言葉に踊らされ、気が付いたら自分が守るべき大切なモノを奪われる……
そんなことにならないためにも、そうだ……
ああ、そうだとも!
この作品をどうか読んで学んでくれ!
魂のアナーキスト、『神山イナ』が書き殴ったこのソウルをどうか受け止めて欲しい!
あったまわりぃ内容に見えるかも知れないけど、読んだあと、君の中には得体の知れない感情がびっくんびっくん蠢いているはずだから!
ふ……
もう少し早く、俺もこの作品に出会えていたら……
ビールが値上げすることを止められたのかもしれないな……
Goodbye! ディスカウントショップ……
あの頃の安かった日々に乾杯……
PS
これはビールの話では無く、スモーカーのお話です。
まず述べるべきは、この物語では「煙草は絶対悪」という事である。近頃煙草規制の話が盛り上がる中、まさにそれが行きつく先まで行った世界で物語が展開される。煙草を吸う者が居れば民間人でも逮捕できる(喫煙者から見て)クソゲー状態。なんなんすかもう。
主人公は勿論喫煙者サイドの人間。ある時に出会った二人の仲間と共に、自らの大切な伴侶である「煙草」復権の為に壮大な作戦に躍り出ることとなる。
話題性のある「煙草規制」をテーマにしており、全部が全部重苦しい話かと思えば真剣な話の合間にちょっとしたジョークが入ってくすっと笑ってしまう。仲間の小粋な台詞や仕草と共に進行していくストーリーは良質な海外映画を思わせ、上手な展開につい引き込まれてしまう。
煙草の為に奔走する彼らを見守ろうではないか。
一話から完結までずっと更新を楽しみに追っていた作品です。
『禁煙法』――喫煙者である彼らを犯罪者と称し、苦しめる法律。そんなむちゃくちゃな法律のおかげで、居場所を失い、職を失い、恋人に見放される喫煙者たち。そんな時、人生を貶めた法律を無くしてやろうと立ち上がった紫村、マルヴォ、アイコの三人。彼らは法律を作った国の頂点、総理大臣へと立ち向かう――
と、なかなか心震えるかっこいいストーリーなのですが、内容は笑い転げるほどの面白おかしいコメディとなっております。この面白さのポイントのひとつに、見ている側はすげー笑えるんですけど、当の本人たちは真剣そのものということ。『くらえ!』と言いながら消臭スプレーを振りまく、100円ライターで敵を炙る、戦闘開始とともに腹を壊しトイレにこもる、鋼のポロシャツを着る……など、もう最っ高。ドツボにハマった上に、何度電車の中で変な目で見られたことか。
そしてストーリーの面白さもあるのですが、この作品の魅力は何と言ってもそのキャラクター!
ひとりひとりの個性が光っており、味方だけでなく敵にも思わず感情移入して応援してしまうほど。【完結】という言葉を見たときに『ああ、もう彼らに会えないのか』という心寂しさに初めて駆られました。
それほど惹きつけられ、更新を楽しみにしていた大変おすすめの傑作です。こんなに長いレビューを書いたのも初めて。ぜひ読んでください。あなたも絶対、この作品の魅力の虜になる。