マニル・エ・シュトラ（manil e syutora）

針葉樹の森に閉ざされた里で、少女ソフィーは両親と共に暮らしている。里の外れには神の業を操るという人形師が住んでいる。ソフィーは手紙を届けるために人形師ルーの家を度々訪ねる。人形師の家には彼が造った人形の部屋があり、ソフィーはその部屋に置かれた自分と同じ年頃の人形に会うのが楽しみだった。
　里には、ソフィーの他に子どもが居ない。皆、先の流行病で亡くなってしまったそうだ。故に、ソフィーの友達は動かないロッティだけ。それでも、ソフィーは彼女に会いたくて里人の嫌うルーの家を訪ねる。
　ソフィーにはもう一つ、仕事があった。毎日、母親の焼いたパンを池の畔に住むエイル婆さんの所へ届けること。里の誰より長い時間を生きているエイルの炉端で、蜂蜜の利いた甘い飲み物を啜りながら、昔々の話を聞くのが好きだった。願い…続きを読む