死と退廃の背景を感じさせる世界観が秀逸

 タイトルと、シンプル極まりないキャッチコピーから、B級ゾンビパニック映画的なものを想像していたら、まずは地に足のついた終末世界からの描写が始まって、これは「アタリ」だと思いました。
 冒頭は、一見すると単なる田舎老人たちのお茶会。だが、主人公の仕事で徐々に明かされる、暗く冷たい世界観がたまらない。この世界は、物語の舞台となる集落だけではなく、まるごと限界に来ていたのだろう。
 個人的に、松森さんの回想に出てくる「血染めの雪景色」で、行間の向こうにその景色が透かし見え、ガツン! と世界に引きこまれました。このセンス、大好きです。また、ゾンビという異常を持ち込んだ上で、その世界で登場人物が生まれ、歳を取り、今も生活していると感じさせられる、細やかな生活感や存在感の描写が巧い。
 一話時点では期待を込めて星2にしていましたが、二話でテンションが上がって星3に変更しました。更新、楽しみにしています!

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