平和からすれば戦いといったらこういうもんなのだ

冒頭で述べられる世界の成り立ちを見て、最後まで読み通せば、なるほど一本繋がってなるほどである。 中年おじさんの作り方と構成自体は似ているが、いかんせんファンタジーもファンタジーでファンタジー世界なので、出来ることややることのふり幅が大きい、平気で千年という気分にもなるといえば、なるほどである。
 で、どういう構成が似てたのかと言えば、要はあらすじ部分にたどり着くまでの準備時間をある程度与えてるという具合になる。 そしてラストで一挙にお話を結ぼうとする辺りが描き方に結構つながりを感じるという具合だった。
 お話しとしては割と姫がサバサバしてるのと、ちょっと古風な下ネタが合間合間に出てくるあたりが年代物ファンタジーっぽくって、というより下ネタ自体がおじさんが使うようなもんだから古風で当然と言ったらそうなのだが、全体読んでみて懐かしさをひしひしと感じるあたりが、自分のようなおっさんでも文化を体験してきたからこういうネタの混合物を吸収できるんだなって思うと、昨今の異世界ファンタジーのターゲット層って狙い目って中年おじさんなのでは? というのが納得できる作りだった。 若い子が読んでもなんとなく分かることは分かると思うので、そこは問題ないだろうけど、たぶん、この先も大事に語り継いでいかなければロストテクノロジーになるだろう数々のネタ、なんとかどうにかレジェンダリーと思ったなら、こういう風に作品に仕立ててみるのもいいのかもしれない。
 千年平和からすれば戦いというのはほぼほぼ情報戦の時点で決まってそう、そんなことをふと思って、そっと本を閉じる。

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