これぞミステリの醍醐味!

全の章・一の章と二つに分かれて進む当物語。
それらはお互いに歩み寄って一つの話へと昇華されていくのですが、交わる瞬間に物語は新しい驚きを見せつけてくれます……!

日本政府崩壊後というディストピアを舞台に繰り広げられますが、なんと言っても注目は全の章で語られる異様な村社会。発展途上国のようでもあり、民族レベルまで後退してしまったかにも見える不思議な光景。

一の章では携帯電話まで登場するのに、なぜ同じ国でこのような集落が存在してしまったのか? そんな好奇心が抑えられず、悔しくも一日ですべて読まされてしまいました(笑

国の有り様、そして家族の有り様について考えさせられることも多く、構成力・伏線も絶妙。その完成度の高さもさることながら、十二万字程度でそれらを読後感よくまとめ上げた作者の力量に感服です。

カクヨムでは比較的ライトな物語が多いですが、こちらのお話はやや正当ミステリ寄り。本格が読みたい方こそ是非手に取っていただきたい作品です。

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