昔、引力と喧嘩したんだ、と少年は言った。

 高校の時、クラスに、浮いている少年がいた。一般的な意味ではなく、物理的にふよふよと、彼は浮遊していた――
 淡々とした筆致でつづられる、いっぷう変わった友達との思い出。彼はなぜ「浮いて」いるのか。鳥はみずから望んで空を飛んでいるのか。ちょっと不思議な短編でした。