まわりから浮いている彼。物理的に、まわりから浮いている。どこかへふわふわ飛んでいきそうでいて、何か不安に縛られているようでもいて、人とは違う彼への興味は尽きない主人公。とらえどころのない彼の語り口、ファンタジックに表現された思春期らしさ、すごく好き。
高校の時、クラスに、浮いている少年がいた。一般的な意味ではなく、物理的にふよふよと、彼は浮遊していた―― 淡々とした筆致でつづられる、いっぷう変わった友達との思い出。彼はなぜ「浮いて」いるのか。鳥はみずから望んで空を飛んでいるのか。ちょっと不思議な短編でした。