淡々とした語りの裏にひそむ激情

 がん細胞のしくみをも利用し、人造肉の廉価な培養ができるようになった未来。食肉、命のありように対する価値観が変転した世界で、違法に食肉をする人々――そうした設定だけを取り上げるなら、SFとしては新奇ではないかもしれない。けれど淡々とした文体で語られる主人公の切迫した思いに、短編にもかかわらず読み終えて涙がにじんだ。良作。

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