誰もが旅したあの国へ――

少年がどこかで戦ったことがある敵と戦い、魔王を倒す勇者となる――。
一話を読み終えて身構えた感覚は、最後になって思い返してみれば変わっていないようでいて正反対でした。
注意喚起の一文は意表を突くという点で大正解であり、本当に親切だったと思います。

懐かしい冒険、戦い終わってのどことなくほろ苦い思い出、すべて同じではないでしょうが、誰もにとっても似たような経験を抱えていたことは確実かもしれません。
「みんなの最大公約数」、だけど自分自身でしか割り切れない「素数」、そんな素敵な作品こそがこの小さな国であるのかもしれません。

あ、そうだ。
読み始める前にメモ帳とペンを手元に置いておくといいかもしれません。