ハードルは……存在しない!

力強い言葉ですね。お金がかかるんでしょう? とか、大の大人が剣を振り回して戦うなんて、とか、投げかけられる疑問やハードルそのすべてが、実は疑問を投げかけた当人の中にしか存在しないのだと。ほとんどお金をかけず、古着や100均で装備を整えることは恥ずかしいことではなく、むしろ節約を身上とする冒険者としてはグッジョブなのだと。

海外では盛んに行われている「LARP──ライヴ・アクション・ロール・プレイング(中世ファンタジー等の世界を実際に自分の体を動かしながら感じ遊ぶゲーム)」を日本でもやりたい! と、サークルを立ち上げた主催者さん達の奮闘記です。

ずっと読もう読もうと思っていたんですけど、何となく足が向かず、ところが今日読んでみたらこれがまた非常に面白い!
エッセイではあるものの、序盤から「やってみたいけど、運動が苦手で」とか「初のPC全滅」とか「初の野外LARP……しかし、大雨に見舞われて」とか、本当にノンフィクションなの? と思うようなドラマティックな展開が目白押し。

それを咄嗟の機転で乗り切っていく──。まるで一本の小説を読んでいるかのような満足感でありました。

カクヨムの仕様上、リンクがすぐに参照できないのが残念だなぁ……。PC全滅の裏には、実は直前の参加数の二転三転など、裏方ならではの理由があったり。
途中、TRPGやアナログゲームをほとんど知らない人間からすると、新キャラ(という言い方もナンですが)目白押しで分かりにくいところもありましたが──、その後の初野外LARPのくだりは、まさに、これまでの経験値の集大成! という感じで楽しめました。第五章ではLARPの神(笑)とも感動の再会もありますしね。

ちなみに一番笑ったのは
「……男性更衣室は……ま──魔界だった……!!!」と、
 (※3)……ここは全てドイツ語で詠唱されていたため、あくまでイメージの記述である。
です。

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