妖しき世界に美丈夫二人と鵺、揃えば彼等に敵は無し

まさに大正怪異奇譚という言葉が相応しい作品ではないでしょうか。
主人公達二人が妖や幽霊などの怪異と相対し、時に退治や対話をしたり、時に人の愛憎や家柄のいざこざに巻き込まれたりといった様子は、現代よりも少し昔、着物やバンカラ、和洋折衷が似合う大正や明治時代の世界観や情景が自然と脳裏に浮かびました。

言葉選びもお洒落で、しかし読み辛くないところが良いです。話も良いテンポで進んで行くので、読んでいて爽快、そして楽しい作品です。
登場人物の名前が全員特徴的な点も面白いですね。
人物それぞれの性格も個性があって、それでいてどこか秘密を抱えていたりと魅力的です。

また話ごとに作品の雰囲気が違ったりするので、そういう点も飽きさせない要素となっています。
主人公二人のユーモラスな会話だったり、妖や幽霊との戦いだったりというのが基本の中で、そこにふと切ない話や深読みさせる話などが入ったりするので、魅せられてしまいました。

是非皆さんも二人と鵺の隣に並んで、彼等の行末を見て行ってください。

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