軽妙洒脱な語り口が光る、傑作和風怪異譚。

黒い太陽が昇る異世界を舞台とした物語だ。

ジャンルとしては依頼を解決していくバディもの。
鵺使いの術師の亜緒と、剣客の青年蘭丸の二人が営む『左団扇』という退治屋を中心にタイトル通りの奇譚が展開されていく。

言葉選びに明治、大正を思わせるレトロクラシカルな要素が散りばめられている。
高い筆力と相まって情景描写が美しく、奇妙かつ愛嬌のある登場人物たちの心理も細やかに描かれている。
そんな文章が、薄闇に包まれた静かな舞台と素晴らしく噛み合っている。

上記の要素の中に気になる部分があれば、まずはぜひ一章が区切られる6話まで読んでみていただきたい。
完成度の高い物語にすぐ引き込まれること請け合いだ。

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左団扇奇譚

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