誰もが知っている詩人李白の誰も知らなかった冒険がここに!

中国唐代の詩人にして、「詩仙」と称される李白。彼が遺した詩は教科書にも載っていたりするので、読んだことのある人も多いでしょう。
本作はその李白が主人公なのですが、おそらく我々がイメージする李白を大きく覆すこと間違いなし!

本作で描かれる李白はまだ少年と言っていい年齢。それなのに酒と碁が大好きで、なぜかジジイ口調で喋り、目的のためなら向う見ずに突進し、気に入らないことがあればすぐ口答えをする。
そしてこの李白、口が達者なら腕も達者で、己の前に立ちふさがる悪党が居ようものなら並外れた拳法で成敗する。
中国の武侠小説を彷彿とさせる本格的な格闘描写は必見です。

一見型外れのようでいながら、時折ストーリーの流れに沿って実際の李白が詠んだ詩を披露するのも心憎い。
また、名家の落ちこぼれや、自称美少女侠客の少女、寺で暮らす西域出身の少年、神出鬼没の怪しげな老人など一癖も二癖もある登場人物が次々現れて、彼らを主役としたエピソードが紡がれていき、それらが折り重なって李白を中心とした一つの物語になるという構成もお見事です。

全体を見れば長編ですが、一つ一つのエピソードは短く読みやすいので気になった人は是非是非。

(四字熟語っぽいタイトル四選/文=柿崎 憲)

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